「もし体の中で1箇所だけを治すなら。」

日本ではオステオパシーよりもはるかにメジャーになっている手技療法の 一つ、カイロプラクティックには上部頸椎カイロプラクティックという 考え方があります。 これはカイロプラクティック創始者D.D.パーマーの息子B.J.パーマー によって考案されたものです。 B.J.パーマーが「全ての背骨を動かすことが、果たして本当に有効 なのか?」という疑問から研究を続けた結果、1930年に発表した 『H.I.O学説(様々な病気の原因は上部頚椎の変位が起因している)』 が基本となっています。 具体的には上記の考え方のもと、上部頸椎(特に頸椎1番、2番)のみを 矯正するというものです。 確かにこの施術で症状が改善される事例もあるでしょう。 では、私がもし「体の中で1箇所だけ治しなさい。」と言われたら どこを治すか? それは「左膝」です。 「頸椎1番、2番」と言われれば、「確かにそうなのかもしれないな~」と 思う方も多いかもしれません。 しかし「左膝」では、一般の方々だけでなく、オステオパシーを含めた 手技療法に従事している人達でさえ、 「は~?何言ってんの、意味わかんないんですけど。」 という感想になるでしょう。 オステオパシー関係、その他手技療法関係の書籍で、この左膝の問題に 唯一言及しているのは、私の知る限りではフルフォード先生だけです。 フルフォード先生は、その理由として出生時に胎児が産道を通る際の 影響を挙げていますが、私は以前にジンクの筋膜パターンについて 書いた時にも少し触れたように、内臓の非対称(特に肝臓の位置)が 原因だと考えています。 実際に帝王切開で産まれた人の左膝を見ても、その大半に問題がある ことがわかります。 私は頭頚部や背骨だけを治しても、骨盤や下肢の問題を取り除いて あげなければ、ある程度の期間が経つと、また元に戻ってしまうと 考えているので長期的に見ると、もし1箇所だけと言われたら、やはり 「左膝」です。 白山オステオパシーに来た経験がある方なら、恐らくかなりの割合で 左膝にパーカッションハンマー(もどき)を当てられた経験があると 思います。 オステオパスの皆さん、ほとんどの人が持っているこの左膝の変位には 気付いていらっしゃいますか?                                 白山オステオパシー院長