「聖なる科学(5)」(最終回)

今回は「聖なる科学」から、以下の3項目です。  ・自然に順応した生活は感情を鎮める  ・性欲  ・生命の木の根 ここまでを転載します。 「自然に順応した生活は感情を鎮める」 性欲を抑えるために、断食をしたり、からだを痛めつけたり、寺などにこもったり することが行われているが、このような異常な手段によって目的が果たされることは むしろまれである。 しかし、修行上の大敵であるこの性欲も、前述のように、刺激性の材料を用いない 自然の食物を常食とすれば容易に克服できることを、実験の結果は示している。 このような自然の食事は、心の落ち着きをもたらすが、この心の落ち着きが、活発な 思考力と、明晰な理解力と、適正な判断力を養ううえに、最も大切であることは、 心理学者の認めているところである。 真野解説。 最後の「心理学者の認めているところである。」という部分は、その出典を具体的に 書いて欲しいところですが、この内容も概ね正しいでしょう。 前回、子供の落ち着きの無さや、キレやすさは体内の沈着物質が神経を刺激するため であると私の説を書きましたが、性欲に関しても同じような現象が起きていることは 充分に考えられます。 つまり、下腹部などに溜まった物質による刺激で、必要以上に性欲が亢進してしまう。 そして、その原因の一つに食生活は、当然のこととして関係してきます。 ですからインドのヨギ達が悟りを得るために、質素な食生活をして、更にヨガを行う ことにより、体の状態を整えていくということは、非常に理に適っているということ になります。 また日本の禅宗でも真面目なところは質素な食生活に加えて、自分たちの食料を確保 するための農作業、燃料確保のための薪集めや薪割り、清掃など、数多くの作務を こなしますが、これも体の状態を整えることで悟りに至る近道なのかもしれません。 「性欲」 ここで、自然な生殖本能について少し述べておこう。 生殖本能は、自己保存本能に次ぐ、動物の最も強い本能である。 性欲には、他のあらゆる欲望と同様、正常な状態のものと、異常で病的な状態の ものとがある。 そして後者は、一にかかって、前述の不自然な食事によって体内に蓄積された異物 から生ずるのである。 性欲は、実は、きわめて正確な健康のバロメーターである。 性欲を、その正常な状態から無理に発動させるものは、身体内部に蓄積された異物の 圧力による神経的刺激である。 この圧力は、生殖器官に働いて、性欲の亢進という形で現われ、後しだいに減衰して ゆく。 正常な状態にある性欲も、心の落ち着きを妨げる情動を解消しようとして、生殖器官 に働きかけるが、ごくたまにしか発動しないものである。 他の欲望の場合と同様、性欲の場合も、前述の、自然に順応した生活を営むことに より正常に保たれることが実験により確認されている。 真野解説。 これも、前の項のつづきのような内容です。 性犯罪を犯す人の中には、何度も同じ事を繰り返す人達がいますが、このような ケースは刑務所に何年も服役するよりも、もしかするとオステオパシーの施術を 受けて身体の状態を整えたほうが、再犯率の減少には効果的なのかもしれません。 またまた余談になりますが、「聖なる科学(2)」の内容において、「歯の観察」という 項目について書いた時に、明治時代の日本の医師、石塚左玄が明治31年に出版 した「食物養生法」について少し触れましたが、石塚左玄は歯だけではなく、性行為 に関してもスリ・ユクテスワと同じようなことを書いています。 石塚左玄の説は、人間が必要以上におこなう性行為の理由とは体内に溜まった ナトリウムを除去するための行動である、と書いています。 ちなみにナトリウムの含有量が多い食物の代表的なものが、「肉」です。 「生命の木の根」 生殖器官は、重要な神経(特に、交感神経と脊髄神経)の末端が、そこで結合しており それらが脳に接続していて、全身に活力を与えるようになっているため、生命の木の 根のようなものである。 性欲の使い方を正しく心得ている人は、身心を健康に保って快適な生活を送ることが できるのである。 今日、一般社会では、性の問題を不浄で下品なこととしているため、実用的な性の 健康の原理についての教育がなされていない。 そのため、性について無知な人々は、厚かましくも、自然をヴェールでおおい隠そうと している。 彼らは、性を、自然の中にある醜い面だと思っているが、醜さは彼らの心の中に あるのであって、自然そのものの中にあるのではない。 性の力を誤用することの危険性を知らず、不健全な生活から生ずる異常な性神経の 刺激に翻弄されていると、病気を招き、ついには早死にをすることになるのである。 真野解説。 神経系に関しては、例えば自律神経(交感、副交感神経)のうち、交感神経は頭蓋内 の視床下部から脊柱前面を下って行き、尾骨の先端において左右の交感神経幹が、 不対神経節により接続します。 また副交感神経は大腸の途中(横行結腸の半分くらい)までは、頭蓋骨の頸静脈孔 から下った脳神経10番の迷走神経が支配しますが、横行結腸以下の腹腔内臓器 および骨盤内臓器の副交感神経は、骨盤の仙骨部分からの神経の枝が支配して います。 ですから生殖器官に限らず、骨盤部分に歪み、ねじれなどがあると非常に大きな問題 を引き起こすケースがあります。 例えばエドガー・ケイシーのリーディングにおいて統合失調症の患者が、その原因 として指摘されたことは、「転倒して尾骨を強く打ったこと。」でした。 つまり尾骨を強打したことにより自律神経系などにアンバランスが生じて、統合失調症 になったと考えられます。 現代医学では、こういった系統の病気は全て脳に原因があると考えますが、本来は 身体全体の問題なのです。 話しが少し逸れてしまいましたが性に関することに戻ると、子供達がどこかの時点で 性に関することは恥ずかしいことだと考えるのは、結局は周囲の大人達がそのように 子供達に思い込ませていることが原因な訳ですから、スリ・ユクテスワが言うところの 「生命の木の根」について、大人はきちんと子供に教育するべきでしょう。      醜さは彼らの心の中にあるのであって、      自然そのものの中にあるのではない。 以上で「聖なる科学」のシリーズを終わります。                                      白山オステオパシー院長