「磁気治療の原理。(真野説)-その4」

今回は、私なりの磁気治療の原理を説明するために「電流」と「磁界」の 関係について、書いていきたいと思います。 まずは、下の写真と図を御覧ください。 前回、磁石の周囲に撒いた鉄粉が磁束に沿って模様を描いている写真を 載せましたが、この写真は導体を流れる電流の周囲に鉄粉を撒き、その 模様を写真に撮ったものです。 導体の周囲の鉄粉が、同心円状に模様を作っているのがわかります。 つまり導体中を電流が流れると、その導体の周囲には磁界が発生すると いうことです。 この磁界の方向は、電流の流れる方向(電子の移動方向とは逆向き)に対して ネジを締めていく方向(右回転)となります。 これを「右ネジの法則」と呼びます。

上の写真からもわかるように、電流(電荷の移動)と磁界には密接な関係が あります。 次に電流と磁界、そして、そこに発生する力についての関係です。 学校の授業で「フレミングの左手の法則」というものを習った記憶がある方も いると思います。 これは、左手の中指を電流の向きに、人差し指を磁界の向きに向けたときに、 電流が流れている導体が受ける力は親指の向きになる、というものです。 このとき、磁束密度をB[T]、電流をI[A]、導線の長さをℓ[m]とすると、 導線に働く力F[N]は、      F = B・I・ℓ [N] となります。

また、磁界の中で荷電粒子(電荷)が運動をしているときに、下図のように 電荷の向きと磁界の両方に垂直な方向に力が働きます。
この力は「ローレンツ力」と呼ばれます。 電流は電荷の集まりなので、上の図と下の図は、同じ内容を表している ということになります。 「フレミングの左手の法則」では、下の図で電荷に働く力が集まって、 導線を押していると考えるとよいでしょう。 磁束密度をB[T]、電荷をq[C]、速度をv[m/s]とするとき、電荷に働く力 F[N]は、      F = B・q・v [N] となります。 荷電粒子が電子のように負の電荷であるときは、力の向きは逆向きになります。 体内の血液や間質液の中には、多くのイオン(荷電粒子)が含まれているため、 体液の流れは電流の流れと言っても良いと、前回書きました。 そして今回の説明からわかるように、電流が流れているところには磁場が発生し、 さらにその電流(電荷の流れ)に別の磁場を近づけると、その荷電粒子には 決まった方向に、力が発生します。 つまり人の身体というのは体液の流れにより、周囲を磁場が取り巻いており、 そこに別の磁場を近づけるとローレンツ力により、体液内のイオンに対して 力が発生するということです。 では、今回の「磁気治療の原理。(真野説)」はここまでにして、次回に 続きます。                                     白山オステオパシー院長