「解答。」

すっかり遅くなってしまいましたが、前回の問題の結果を発表いたします。 残念ながら、正解者ナシでした。 当院に来ている方なら正解を見つけてくれる人が、一人くらいは必ずいると 思ったのですが、少々ハードルを高くし過ぎてしまったのかもしれません。 締切り前から、「先生、わかんないから答え教えて。」という方が数人おり、 「もう少し簡単にしたほうが良かったかな~。」と、少々後悔してしまいした。 前回の問題では、    ・いつ        ・どこで    ・何を撮影したものか を答えてください、と書きました。 まずは、当院ホームページ新ヘッダーの背景に使った画像の、元になったものが これです。

当院ホームページの新ヘッダーでは、この画像を上下反転し一部を拡大したものを 使用しました。 ちなみに、これが当院ホームページの新ヘッダーです。

では、順に解答を書いていきます。    ・いつ     1977年12月        ・どこで     高エネルギー加速器研究機構(KEK)    ・何を撮影したものか     パイマイナス(π-)中間子と陽子の反応を1m水素泡箱で捉えたもの このように書いていただけると良かったのですが・・・。 これだけでは、何を書いているのかさっぱりわからないという方のために、少々 補足説明を。 現代の物理学の一つの分野に素粒子物理学というものがあります。 これは、物質の最も基本的な構成要素(素粒子)とその運動法則を研究対象とする もので、主に粒子加速器を用いて高エネルギー粒子の衝突反応を観測することで、 研究が進められています。 例えば以前に、ティム・バーナーズ・リーに関する記事を書いた時にCERN(欧州原子 核研究機構) という言葉が出てきましたが、CERNは素粒子研究の代表的な施設の 一つです。 粒子加速器では荷電粒子を電場によって加速させて、正面衝突させるなどして 荷電粒子をさらに微細な粒子に分割して、物質の基本的な構成要素(素粒子)を 特定しようという研究が、おこなわれています。 そして、加速させた荷電粒子どうしを衝突させた際に描かれる粒子の軌跡を観察する ために考え出されたのが、泡箱です。 「泡箱」とは? (ウィキペディアより) 泡箱(あわばこ、bubble chamber)は、ニュートリノなどの粒子を観測するための 装置の一つ。 1952年にアメリカの物理学者ドナルド・グレーザーによって発明された。 グレーザーはこの功績により、1960年度のノーベル物理学賞を受賞している。 原理は霧箱に似ており、過熱状態の透明な液体(主に冷却された液体水素)を 満たした空間を粒子が通過することにより、粒子が通過した部分の水素が気化し、 泡として観測される。 日本で初めての泡箱の実験は、1965年に北垣敏男(東北大学)が行なった。 霧箱とは? (ウィキペディアより) 霧箱(きりばこ、英語:cloud chamber)は、蒸気の凝結作用を用いて荷電粒子の 軌跡を検出するための装置。 1897年にチャールズ・ウィルソンが発明した。 過冷却などを用いて霧を発生させた気体の中に荷電粒子や放射線を入射させると 気体分子のイオン化が起こり、そのイオンを凝結核として飛跡が観測される。 霧箱はウィルソンによって実用化の研究が行われたことから、ウィルソン霧箱 とも呼ばれる。 霧箱の原理はこれまでに、ジョゼフ・ジョン・トムソンの電子や放射線の研究や カール・デイヴィッド・アンダーソンの陽電子の検出など様々な粒子や放射線の 観測や、コンプトン散乱、原子核衝突、宇宙線の研究など多岐にわたる用途で 用いられてきた。 ニュートリノの観測は霧箱では検出できず、泡箱を用いることにより初めて検出 された。 では次に、答えの中に出てきた、パイマイナス(π-)中間子について パイ中間子とは? (ウィキペディアより) パイ中間子(パイちゅうかんし、π–meson)は、核子を相互につなぎ原子核を 安定化する引力(強い相互作用)を媒介するボソンの一種である。 パイ粒子、パイオン(Pion)とも呼ぶ。 当時大阪大学の講師であった湯川秀樹が、その存在を中間子論で予言した。 その線量分布の特性から負電荷パイオンはスイスやカナダでがん治療に 用いられている。 基本特性 π中間子はスピンが0で、第一世代のクォークからなる。 種別はπ0、π+、π−の3種類がある。 π+はアップクォークと反ダウンクォークからなり、π−はダウンクォークと反アップ クォークからなる。 この二つは互いに粒子・反粒子の関係となっている。 π0は自分自身が反粒子である。 電π中間子の質量は約139 MeV/c2、寿命が2.6 × 10−8 秒。 主な崩壊モードでは反ミュー粒子とミューニュートリノに崩壊する。 π0はわずかに軽く、質量が約135 MeV/c2で寿命が8.4 × 10−17 秒である。 主な崩壊モードでは光子2つに崩壊する。 歴史 1935年に湯川秀樹が提唱した。 陽子間の電気的斥力を超え、電荷を持たない中性子をも結合させて原子核を 安定なものにする核力(強い相互作用)を媒介する粒子が存在し、その予想質量が 100MeV 程度と電子(約 0.5MeV)と核子(約 900MeV)の中間に当たることから 中間子と名づけられた。 シル・パウエルの率いるチームが、1947年に実験によって電荷を持つパイ中間子を 発見した。 この時代にはまだパイ中間子を生成できるほど高エネルギーの粒子加速器が存在 していなかった。 そのため、チームは代りに感光版を設置した観測気球を宇宙からの放射線宇宙線) を受ける高度まで上げ、気球を回収後、顕微鏡による検査で電荷を持つパイ中間子の 軌道を発見した。 これらの業績から、1949年に湯川秀樹および1950年にセシル・パウエルがノーベル 物理学賞を受賞した。 π0はπ±と比べると電荷を持たず、また寿命が極めて短いため軌跡を観測するのが 困難で、そのためπ0は1950年に発見された。 まあ、はっきり言って私自身もよくわかっていませんが、こういうものだと覚えて おいてください。 最後に、当院ホームページの新ヘッダーに使われた画像を撮影する際に用いられた 1m水素泡箱の写真です。
                                     白山オステオパシー院長