「イニシエーション」

今回は、最近読んだ本の中からオススメ本を一冊紹介したいと思います。 本のタイトルは「イニシエーション」。 ちなみにイニシエーションの意味を調べてみると、 イニシエーション【initiation】 ある集団や社会で、正式な成員として承認されること。 また、その手続きや儀式。成人式・入社式はその一形態。 となっていました。 この本のタイトルのイニシエーションの意味としては、神との合一を達成する ための通過儀礼(というよりは試練)、と言うほうが正しいかと思います。 本の著者はエリザベス・ハイチ、翻訳者は紫上はとる、出版社は例のごとく ナチュラル・スピリットで、8月27日に初版第一刷が発行されました。 世界では、すでに17ヶ国語に翻訳されているそうです。 総ページ数約700ページという分厚い本ですが、その随所に珠玉のような メッセージが散りばめられており、この人間という存在についてより深く知り、 より成長したいと願う、全ての人にお薦めできる本です。
この本の内容ですが、翻訳者の紫上はとるさんの訳者あとがきの部分にわかりやすく まとめられていましたので少々長くなりますが、その部分を転載したいと思います。 著者のエリザベス・ハイチ氏は、ヨガ・マスターであり、霊的指導者であり、芸術家 であり、さらに妻でも母でもあったきわめて聡明な自立した女性です。 祖国ハンガリーでの名はHaichi Erzsebet(当国も苗字が先にきます)であり、 苗字のHaichは国によってハイチ、ヘイチ、ヘイシなどと読まれているようですが、 本書では読みやすさを優先し、ハイチとしました。 彼女は欧州で最古にして最大のヨガ・スクールを創立し、生涯を通じてヨガの普及と 人類の意識の進化に寄与しました。 本書が書かれたのは今から約60年前の1953年、著者が56歳のときです。 すべて彼女の口から「みずからが啓示を見出すにいたった体験」として弟子たちに 語られた内容が書き起こされたもので、いわゆる自叙伝的性格を帯びています。 しかし、断じてありきたりの自叙伝ではありません。 この本には、著者の現世での生い立ちと歩み、複数の転生の記憶、とくに古代 エジプトで王族として生きた転生の記憶と、そのとき大神官プタハホテプから 授かった教えが、きわめて詳細かつ鮮明に描かれています。 「大ピラミッドにおけるイニシエーション」の実体験を軸に展開する顛末は、まさに 圧巻と言えましょう。 異なる意識レベルでの記憶が、それぞれのレベルの著者自身によって語られ、 一人の人間のなかに実は多くの個人が存在していることがリアルに伝わって きます(多重人格とは異なります)。 複数の人格を統合するその驚異的な能力や、卓越した記憶力と再現力には感嘆 させられますが、著者が個人の人格を超えた意識レベルに到達していたことを 思えば、いつでも無尽蔵の叡智の宝庫とつながって、自在に情報を取り出すことが できたとしても不思議はないでしょう。 本書では、神、神との合一、自然の法則、<自己>・高次自己、意識の想像力、 意識レベルと想像力の顕現、二元性、善悪の知識の木、補完しあう半分、念話、 神性と物質(形)、占星術、宇宙エネルギーと世界史、物質化と非物質化、 アトランティス、精神集中、ヨガ、アーユルヴェーダ、神経系とエネルギー中枢、 エネルギー放射、輪廻転生、夢、デジャヴ、意識進化と救済、心霊主義、 白魔術と黒魔術、秘密の霊的集団、人類の未来、地球の霊化などなど、じつに 多岐にわたる事項について独自の豊かな見解が展開されていきます。 今の時代はあらゆるものごとが細分化や専門化をきわめ、スピリチュアルな世界に おいても、数かぎりない悟りの思想や実践法、理論や洞察、気づきや癒しの手法が あふれています。 そうした中にあって、本書はあらためて私たちを原点に立ち戻らせ、すべてを 結びつけて統合する広大な視野にいざなってくれるのではないかと思います。 いかがですか? この本が1953年に書かれていたというのですから、本当に驚きです。 この類の本をさんざん読み漁ってきたという方が読んでも、必ず新たな発見が あるはずです。 まだ出たばかりの本ですので、これから読む方のためにも本文の言葉は書かない ほうが良いでしょう。 その代わりに前書きの部分から、ある弟子がエリザベス・ハイチに質問した部分を 次に転載したいと思います。 「マザー、あなたはどうやって、そんな可能な性質のすべてを現せるほど完全  かつ完璧に<自己>を知るようになったのですか?  私もそうなりたいのです。 どうか教えてください。  存在している唯一のものの現れとなり、その変幻自在の器となるために、  いったいどんな体験をしてきたのですか?  それともあなたは最初からずっとこのレベルにいて、この状態で生まれて  きたのですか?」 「生まれてきた? 『私』が生まれるのをあなたは見たのですか?  『私』を見たことがあるのですか?  『私』はいまだかつて生まれたことはなく、これからも生まれることは  ありません。生まれるのは体だけです。    真の聖なる<自己>はそれ自身で完璧であり、ゆえにそれ自身の発達は  ありえません。  <自己>の高次の波動や、とほうもない高周波を顕在化させられるように  発達しなければならないのは、体だけです。  どれほど高度な進化をとげた器すなわち体であっても、この発達のプロセス  を経なくてはなりません。  私の体もそうですが、まだまだ完成にはほど遠く、全ては発達の一段階にしか  すぎません。  体の創造はつねに連鎖反応---今日ではそう呼ばれています---であり、  連鎖反応はいったん始まると、終息するまでさまざまなサイクルを通過します。  どんな顕在化された肉体も、この法則を免れることはできません。  そして体の発達と並行して、意識の状態もおのずと変化していくのです」 「マザー、それではあなた自身も発達のサイクルを通過してきたということですね?  それがどんな経験だったのか、教えてください。  現在の意識状態に至るまでに、いったいどのような体験があったのでしょうか?  そのすべてを聞かせてください」 「なぜ、それを話す必要があるのでしょう?  すべての人が、みなそれぞれに自分のやり方で<自己>の完全な認識に達し  なければなりません。  私が自分のやり方をあなたに話したところで、何かよいことがあるのでしょうか?  あなたが私のやり方をすることはできません。  何があったかは重要ではなく、体験したことから何を学ぶかだけが重要なのです。  難しく考えずに、あなたはあなたの道を行きなさい。  そうすれば私が見出したのと同じことを学ぶでしょう。  道は数えきれないほど沢山ありますが、どこを通っても、行き着く先は同じです」 以上、前書きからその一部を転載しました。 こう言われた弟子は、「体験からどう学べばいいか」、「それぞれの体験からどう やって学ぶべき課題をとらえ、どのように学んできたのか」が多くの人たちにとって、 かけがえのない学びの機会になるはずとエリザベス・ハイチに食い下がり、その結果 この本が出来上がったというわけです。 本物の霊的指導者には、なかなか出会えないかもしれませんが、本物が書いた 本を読めば、いくらかでもそのエッセンスを吸収し自らの成長の助けとなるでしょう。 この弟子には本当に感謝しなければいけません。 今回は本文の内容は一切書きませんでしたが、特に本文の一番最後に太字で 書かれた部分は、多くの人たちにとって必ず今後の人生の糧となるはずです。                                     白山オステオパシー院長