「遅すぎることはない。」

当院でオステオパシーの施術を受け、体調が改善した方々の中には

オステオパシーを学んでみたい。」と考える方がいます。

私が学んだジャパン・カレッジ・オブ・オステオパシー(JCO)は3年制の

全日制で仕事をしながら通うのは難しいため、仕事をしながら通える

他の手技関係の専門学校に通い始めた方も実際にいます。

しかし、多くの方は「もう、この年になって勉強を始めても無理ですよね。」

という言葉を口にします。

もし本気で何かをしたいと思う心があれば、「何歳になっても遅すぎることは

決して無い。」と、私は考えています。

私自身もそれまで全く畑違いの仕事をしていて、オステオパシーの学校に

入学したのが39歳、白山オステオパシーを開院したのは42歳です。

また、私と一緒に入学した方の中には私よりも年配の方がおり、その方も

卒業し自ら開業されました。

オステオパシーは1874年にアメリカの医師、A・T・スティルにより発表

されましたが、当時もやはりスティルの治療により病気が治った人達が

オステオパシーを学びたい。」と考えました。

そして、スティルはじめ多くの人達の努力により、1892年にはアメリカで

最初のオステオパシーの学校が開校し、現在もその数は着実に増えています。

私がJCOで学び始めた2008年の時点で、全米に28校のオステオパシー

医科大学があり、現在は更に数が増えているはずです。

アメリカ最初のオステオパシーの学校はAmerican School of Osteopathyと

いう名で、ミズーリ州カークスビルの地に開校しました(現カークスビル・

オステオパシー医科大学)。

最初の入学者の数は17名。

では、American School of Osteopathyの第1期生の写真をご覧ください。

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写真では全部で23名(骨格模型と犬は除きます。)の姿が映っているので、

講師も一緒に映っていると思うのですが、それにしても全体に決して若いとは

言えないのではないでしょうか。

アメリカ人の平均寿命を調べると、西暦1900年で50歳となっていました。

当時は幼くして亡くなる子供も多かったと思うので、単純に現在とは比較でき

ませんが、やはり現在よりはかなり短命だったはずです。

それでも写真に映っている、決して若いとは言えない彼らは「オステオパシー

を学びたい!!」と、それまでのキャリアを捨て、開校したばかりで全く実績も

無い、この学校に入学したのです。

現在の平均寿命から人生をおよそ85年とするならば、30代や40代前半なら

まだ、人生の半分にも達していないということになります。

なぜ「もう遅すぎる。」と、勝手に決めてしまうのでしょうか?

オステオパシーに限らず、もし本当にしたいと思うことが心の中にあるのならば、

とにかく、まずは最初の一歩を踏み出してみるべきです。

頭の中で考えているだけでは、ただ時間だけが過ぎ去ってしまいますよ。

では、最後にサミエル・ウルマンの詩をどうぞ。





「青春」     

原作 サミエル・ウルマン   邦訳 岡田 義夫



 青春とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相をいうのだ。

 優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦(きょうだ)を却(しりぞ)ける

 勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こういう様相を青春と言うのだ。


 年を重ねただけで人は老いない。

 理想を失う時に初めて老いがくる。

 歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。

 苦悶や、孤疑(こぎ)や、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰(あたか)も

 長年月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥(あくた)に帰せしめてしまう。


 年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。

 いわく「驚異への愛慕心」、「空にきらめく星辰(せいしん)」、

 「その輝きにも似たる事物や思想に対する欽仰(きんぎょう)」、

 「事に処する剛毅な挑戦」、「小児の如く求めてやまぬ探求心」、

 「人生への歓喜と興味」。


 人は信念と共に若く、疑惑と共に老ゆる。

 人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる。

 希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる。


 大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして偉大の霊感を

 受ける限り、人の若さは失われない。

 これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽(おお)いつくし、

 皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至れば、この時にこそ人は全くに老いて、

 神の憐れみを乞うるほかはなくなる。





 怯懦(きょうだ)    :臆病で気の弱いこと 
 孤疑(こぎ)      :疑ってためらうこと 
 星辰(せいしん)   :星のこと、辰は天体のこと
 欽仰(きんぎょう)  :つつしみあおぐこと