「得体の知れないファブリーズ(3)」
では、各成分ごとに渡辺雄二著の「ファブリーズはいらない」やウィキペディア
などを参考にしながら、解説していきたいと思います。
成分1:
トウモロコシ由来消臭成分
働き:(P&G社による説明)
トウモロコシ生まれの有効成分で、ニオイのもとの分子をとり込み、消臭
します。
真野解説:
「トウモロコシ生まれの消臭成分」とは「環状糖類(サイクロデキストリン)」と
いうもので、トウモロコシデンプンから作られた糖類の一種です。
デキストリンとは、ブドウ糖がいくつも結合したものでそれがサイクロ、
すなわち環状になっているということです。
P&Gでは、この空洞部分に臭い成分を取り込んで消臭すると説明しています。
発売当初は除菌成分は入っておらず、このサイクロデキストリンだけでしたが、
やはり効果が不十分だったようです。
その後はほぼ全てのタイプに、成分表示部に「除菌成分」とだけ書かれた、
謎の物質が入るようになりました。
成分2:
除菌成分
働き:(P&G社による説明)
Quat(クウォット)(有機系)。特定の除菌成分の総称です。
このタイプの除菌成分の安全性は広く認められており、化粧品や薬用石鹸
などに使用されています。
有機酸。野菜や果物の酸と同じ成分がQuat(クウォット)の効果を高める
ために配合されています。
真野解説:
ファブリーズに含まれている除菌成分は渡辺雄二著の「ファブリーズはいらない」
によると「第4級アンモニウム塩」だそうです。
「第4級アンモニウム塩」とは、いわゆる逆性石鹸と呼ばれるものです。
通常の石鹸(脂肪酸ナトリウム)は水に溶けてイオン化するとマイナスに帯電
しますが、逆性石鹸の場合水に溶けてイオン化するとプラスの電気を帯びます。
そのために、逆性石鹸と呼ばれます。
一般に細菌は、その表面がマイナスの電気を帯びているので、プラスの電気を
帯びた逆性石鹸は、細菌の表面に速やかに結合し、細胞膜を破壊したり、
細胞膜の酵素の働きを失わせたり、あるいはタンパク質を変性させるなどして、
結果的に細菌を殺します。
「第4級アンモニウム塩」にはいくつかの種類がありますが、最も代表的なものが
「塩化ベンザルコニウム」です。
これは、病院で消毒薬として使われているほか、洗浄液、化粧品、脱臭剤、
掃除機の紙パック、清浄綿などいろいろな製品に使われています。
しかし、細菌を殺すくらいですから毒性は強く、誤飲すると、嘔吐、下痢、筋肉の
麻痺、中枢神経の抑制などを引き起こします。
0.1%以上の水溶液は眼を腐食し、1%以上は粘膜を、5%以上は皮膚を腐食
します。
以下に、ウィキペディアから塩化ベンザルコニウムの作用機序と安全性の
部分の抜粋を転載します。
「塩化ベンザルコニウム」
作用機序
塩化ベンザルコニウムは、細菌細胞膜のタンパク質を変性させることによって、
殺菌性を発揮する。
外用消毒剤の為、経口投与や浣腸には使用しない。
安全性
魚や (LC50 = 280 μg ai/L), 水生無脊椎動物や (LC50 = 5.9 μg ai/L),
鳥類に (LD50 = 136 mg/kg-bw)対して毒性を示す。
コンタクトレンズ用液は防腐剤として0.002%から0.01%の塩化ベンザルコニウムを
含んでいる。
また0.04%から0.05%の溶液は角膜上皮障害を引き起こしやすい。
ウィキペディアでも、「外用消毒剤の為、経口投与や浣腸には使用しない。」と
はっきりと書かれています。
しかしファブリーズを使用している室内では、間違いなく塩化ベンザルコニウムの
飛沫を吸入したり、あるいは眼に入ったりしているはずです。
「ファブリーズの使用で眼が痛くなった。」という報告がよくあるようですが、
塩化ベンザルコニウムの影響だと思われます。
前回、「ファブリーズの使用で足の裏の皮がベロっと剥けた。」という実際に
あった出来事を書きましたが、これも原因は塩化ベンザルコニウムでしょう。
皮膚を腐食させるには5%以上の濃度が必要ですので、ファブリーズの塩化
ベンザルコニウムの濃度は、かなり高いのかもしれません。
足の裏の皮を腐食するほどの濃度があるわけですから、吸入した際に気管や、
肺の粘膜も腐食されているはずです。
ファブリーズを使用すると、おそらく床に近い部分の濃度が高くなるはずですから
小さな赤ちゃんのいる家庭などは、特に注意が必要だと思われます。
一番の解決策は、やはりファブリーズを使用しないことでしょう。
つづく。
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白山オステオパシー院長