「北欧訪問記(13)」
前回からのつづき。
リハビリへと向かったサオリさんと別れたあと、アイスランド大学に通いながら
ガイドの仕事もしているショウヘイ君に、レイキャビク市内の各所を案内して
いただきます。
国会議事堂、市庁舎、チョルトニン湖、ハットルグリムス教会、地元の食材が
売られているスーパーなどなど、どこに行っても詳しくガイドしてくれて、
彼のアイスランドの歴史、政治、経済、文化、あるいは現在のアイスランドに
関する知識は、本当にこれぞプロという感じでした。
アイスランドへの旅行を考えている方は、ショウヘイ君のガイドを是非お勧め
します。
ダウンタウンを案内して頂いている際、石造りの建物の前を通った時に「ここは
拘置所なんですよ。」と言われ、街の中心部に拘置所があることに驚きました。
アイスランドは、事件らしい事件がほとんど起きないような治安の良い国なので、
この程度の規模でも、なんとかなるようです。
また、軽犯罪の場合にはボランティアなどで刑を済ませることもあるそうです。
途中で小腹が空いたので、レイキャビクで一番有名だというホットドッグ屋さんに
寄りました。
このお店には、クリントン元米大統領も立ち寄ったそうです。
ソーセージは羊と豚の合い挽き肉、アイスランドには羊がたくさんいるために、
皆さん、羊の肉をよく食べます。
スーパーに立ち寄った際には、アイスランドの伝統食という羊の頭部を真空パック
にしたものも売られていました。
以前はノルウェーなどでも普通に食べていた羊の頭部も、現在は伝統料理を
出す、ごく一部のレストランでしか食べることが出来ないそうですが、アイスランド
では、今でも普通に家庭の食卓にのぼるということです。
「Cafe RETRO」で食べた、温泉熱で作った蒸しパンも売られていました。
アイスランドでは、基本的には食品に合成保存料を使用することがないため
蒸しパンも数日置いておくと、冷蔵庫でもカビが生えてきてしまうそうです。
また、「これ、お土産に良いですよ。」と言われたアイスランドのハーブ、
アンジェリカを使用したのど飴は、シンプルな味でとても気に入りました。
今の日本の得体のしれない原料が沢山使われているのど飴よりも、
はるかに美味しくて効果があるのですが、残念ながら今のところ日本では
販売していないようです。
この日はオスロからモリ君が合流することになっていたので、いったん私が
滞在していたホテル・ヒルダに戻り、ショウヘイ君と今後アイスランドで見るべき
場所を相談します。
ショウヘイ君と今後のスケジュールについて相談していると、モリ君から連絡が
あり、空港からレイキャビクに向かっていたバスが交通事故現場に遭遇して
しまい、「乗客の中にお医者様はいませんか?」という、まるでドラマのような
展開になってしまったそうです。
しかも実際にそのバスにお医者様が乗っており、しばらく事故現場で待つことに
なったということです。
結局、モリ君は予定よりも1時間以上遅れてホテルに到着。
宿泊先も決めていなかったモリ君、とりあえず私が泊まっていたホテルに空室が
あるかどうか聞いてみますが、あいにく満室。
レセプションのお兄さんに探してもらい、バックパッカーなどがよく使うような
大部屋に2段ベッドが並んでいるタイプの、1泊16クローネ(約1500円)と
いう超格安のゲストハウスに泊まることに。
私も昔はこういったところに泊まったこともありましたが、さすがにこの歳になると
このタイプは厳しいので、翌日以降は二人で泊まることができる他のホテルを探す
ことにします。
夜は近くの「レイキャビク・フィッシュ」というレストランで、私、モリ君、サオリさん、
ショウヘイ君の四人で夕食をとります。
この時、ショウヘイ君が翌日の私とモリ君のツアーの予約を電話でしてくれましたが
英語ではなくアイスランド語で普通に喋っていて、英語ペラペラのサオリさんに
「アイスランド語は本当に難しい!」と言われていた私は「ショウヘイ君、マジで
凄いな。」と、驚いてしまいました。
食事後、用事があったショウヘイ君とはここで別れ、私、モリ君、サオリさんの
3人は、アイスランド大学の学生達が集まるバーへと向かいます。
バーの入口を入って左側の一角は、アイスランド大学日本語学科の学生達が
集まる場所だそうです。
私たちが2階に上がると、そこにもサオリさんの知り合いが。
元日本語学科の学生、来年日本に留学予定の日本語学科1年生、サオリさんの
知人の日本人留学生などと一緒に飲みます。
現在アイスランド大学の日本語学科は1年生が16名、2年生が17名。
アイスランドでも日本は非常に好感をもたれていて、日本語学科は英語科の次に
人気があるそうです。
その後、お酒をあまり飲めないモリ君は旅の疲れもあり、早めに帰ります。
私たちはアイスランドのビールを飲んでいましたが、途中でアイスランド大学
日本語科OBのおにいさんが、アイスランドのじゃがいもで作ったお酒のグラスを
人数分持ってきました。
更にそのお酒にライターで火をつけて、「さあ、みんなでこれを一気飲み!」。
その場にいた4人が一息で飲みます。
火がつくくらいですからかなりのアルコール度数で、飲んだ瞬間に喉のあたりが
熱くなります。
いつまでも飲んでいると翌日の「ゴールデンサークルツアー」に支障が出ても
困るので、私も12時になる少し前に皆にさよならを言ってバーを出ます。