「種苗法改正法案の問題点」(動画)

日本がコロナウイルス拡大の瀬戸際に立たされているなか、3月3日に種苗法改正法案が閣議決定されました。

森友学園問題のさなか、籠池泰典氏証人喚問と同じ日にわずかな時間で審議を打ち切り、種子法廃止法案を採決したことを連想させます。   

  

3月2日の安倍首相

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3月4日の安倍首相

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テレビでは瀬戸際、瀬戸際と繰り返しながら、ほとんどの国民が知らないところで、このタイミングで種苗法改正法案を閣議決定したのは偶然だったのでしょうか? 

 

以下は2016年2月4日、TPP協定付属文書として安倍首相が米国と交わした文書の一部です。

3,規制改革

日本国政府は2020年までに外国からの対外直接投資残高を少なくとも倍増させることを目指す日本国政府の成長戦略に沿って、外国からの直接投資を促進し、並びに日本国の規制の枠組みの実効性及び透明性を高めることを目的として、外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める。

意見及び提言は、その実現可能性に関する関係省庁からの回答とともに、検討し、及び可能な場合には行動をとるため、定期的に規制改革会議に付託する。

日本国政府は、規制改革会議の提言に従って必要な措置をとる。

 

 

要約すると、

「米国の企業、投資家の皆さん、なんなりとお望みをおっしゃってください。わたくし安倍がその望みを叶えるべく、最大限の努力をいたします。」

という内容です。

 

安倍内閣が上記の文書を交わしたのが2016年2月、翌年の2017年には種子法廃止、2018年には水道民営化法案可決、卸売市場法改定(卸売市場民営化)、2019年には全国農業協同組合中央会の解体(こちらは当時自民党農林部会長の小泉進次郎氏が2016年9月に政府規制改革推進会議において強く提言したもの、こちらも上記の通り外国投資家その他利害関係者からの意見及び提言によるものでしょう)、そして約束の2020年には種苗法改定法案と続き、海外の企業、投資家の意向に沿うため努力し続けています。

 

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再び、第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトの言葉

「歴史上の重大事件の中で無作為に自然発生したものは一つもなく、全てが入念に計画された産物なのだ。」

 

 

こちらは2020/01/27の記事↓

hakusan-oste.hatenablog.com

 

閣議決定とは

憲法や法律で内閣の職務権限とされる事項や国政に関する重要事項で、内閣の意思決定が必要なものについて、全閣僚が合意して政府の方針を決定する手続き。

 

内閣は今国会で種苗法改正法案を成立させようとしています。

種子法廃止の際の審議時間は衆議院5時間、参議院7時間の合計で12時間ほど。

森友学園問題や、さくらを見る会問題ではいったいどれほどの時間を費やしたのでしょうか?

森友学園問題や、さくらを見る会問題で一生懸命だった野党の皆さんは、種苗法改定の審議でもそれだけのエネルギーを注いでいただきたいものです。

現在は既存メディアが報道しなくても、閣議決定された種苗法改定の実態を、野党が直接国民に周知する方法は数多くあるはずなのですが・・・。

 

  

 

 

日本の種子を守る会・事務局アドバイザーの印鑰智哉(いんやく ともや)さんが、3月7日にその問題点を説明する動画をUPしていましたので紹介いたします。 

 

種苗法改正法案の問題点その1


種苗法改定法案の問題点その1

 

種苗法改正法案の問題点その1」の重要点

 

農水省食糧産業局知的財産課によると、日本の種苗の海外流出を防ぐ唯一の防衛策は、日本以外の国での品種登録であると明言している(種苗法改正の理由と矛盾)。

 

・農業競争力強化支援法(種子法廃止直後に成立)8条4項では国や都道府県が開発した種苗の知見を民間企業に提供することを求めている

(民間企業の中にバイエル社など、海外の多国籍企業が含まれることは国会答弁において確認されている。)

 

種苗の知見や育種が民間企業に渡ってしまうと、企業側が自由に種苗の価格をコントロール出来るようになってしまう。

民間企業はあくまでも自社の利益が最大限になることを考えますから、もし企業が公的機関から権利を手に入れた品種の供給をストップしてしまったら、農家はその品種の栽培を断念せざるを得なくなり、民間企業が販売する必ずしもその地域の気候風土に合っていない品種を栽培しなければいけなくなる。(インドでは実際にこれらのことがモンサント社によって現実化し、数十ページに及ぶ契約書の内容を良く読まずにモンサントと契約した多くの農家が廃業、自殺に追い込まれた。)

マリー=モニク・ロバン著「モンサント」より↓

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農家の自家増殖も禁止されれば農家には多大な負担が掛かり、国民の生活にも影響する。

 

 

 

 

 

種苗法改正法案の問題点その2


種苗法改定法案の問題点その2

 

 「種苗法改正法案の問題点その2」の重要点

 

・ゲノム編集

日本政府は米国に倣い「ゲノム編集」(実質「編集」ではなく、遺伝子破壊技術)を解禁。規制無しに栽培が可能。

規制がなければ交雑を防ぐこともできない。

種子にゲノム編集の表示がなければ、農家が知らないあいだに遺伝子破壊された作物を栽培してしまうかもしれない。

健全な遺伝資源が失われてしまう危険。

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www.nikkei.com

  

・種苗のゲノム編集の認可と表示義務の欠落

昨年、農水省はゲノム編集により遺伝子操作された種苗も事前相談と届け出だけで認めることとし、2019年10月9日からその届け出を開始。

しかし、新たな指定種苗表示制度の表示義務にゲノム編集が含まれていない。

農水省は種苗会社にゲノム編集の表示を求めていないので、表示だけではその種や苗がゲノム編集されているかどうか、種苗の購入者は知ることが出来ない。

そのため、農家がゲノム編集された品種であることを知らずに作物を栽培し、そのままその作物が市場に流通してしまう可能性がある。

 

・改正後の種苗法の新たな仕組み

自家増殖の許諾を得ていた種苗会社が合併、買収などで他の会社に変わった場合、これまでの種苗法ではその効力が失われていた。

しかし、今後は権利者が変わってもその効力は失われない。

つまりこの新たな仕組みは、これまで農家が国や都道府県から買っていた種苗の権利が民間に移り、さらにその会社が多国籍企業に吸収合併されることを想定して考えている可能性がある。

 

・推定制度、判定制度の創設

「推定制度」ーー登録品種の審査特性により明確に区別されない品種(育成者権侵害)は当該登録品種と特性により明確に区別されない品種と推定することができる。

「判定制度」ーーある品種が育成者権侵害であるかどうかを、農林水産大臣が判定することができる。

 

つまり裁判を経ること無く、育成者権を侵害しているかどうかを判定されてしまう。

判定にはDNAマーカーで品種を特定できるものは少ないため、子葉、草姿、葉、根などを記した「特性表」というものが用いられる。

もし、たまたま登録品種と特性が一致していた在来品種があった場合、全く違う遺伝子にも関わらず、同一品種とされてしまう。

資金力のある企業が登録した登録品種は守られるが、在来種や非登録品種を守る制度が無い。

 

種苗法と生物特許

生物特許は種苗法の権利を上まわる権利を持っている。

そして日本はアメリカに倣い、生物特許を認めている(例えば特定の品種に病害虫に強い遺伝子を遺伝子操作で組み入れたもの)。

しかし、世界的には生物特許は認めない方向へと動いている。

インドは生物特許を認めない。ドイツは通常育種による特許は認めるべきではないと判断。欧州議会も2019年9月ドイツと同様の決議。

世界の流れに逆らって、日本政府は通常育種による特許を認めたまま、育種を民間企業に任せる方向を打ち出している。

 

・卸売り市場法の改正

種子法廃止と同年、2018年に卸売市場法が改定され、地方自治体が管理していた公的市場が民間企業により管理されることとなった。

種苗法改正により、これまで公的機関が担ってきた種苗から流通まで、全てが営利企業により管理されることとなる。

また2018年には、欧米において問題が続出している水道民営化法案も可決されている。

 

食品表示

2019年4月の食品表示内閣府令により、2023年4月以降は食品に「遺伝子組み換えではない」という表示が出来なくなってしまう。

 

内閣府令とは

内閣総理大臣内閣府設置法第7条第3項に基づいて発する内閣府の命令。

 

つまり、内閣総理大臣が製造者に対して「もし食品に『遺伝子組み換えではない』と表示すれば、あなた方を処罰します」と、命令しているわけです。

 

ここでマリー=モニク・ロバン著「モンサント」の内容を、一部抜粋いたします。

 

P.174

CVM(FDA獣医学センター)の内部告発者は、1994年の匿名の手紙で次のように証言している。 

「私たちは、先日FDA(米国食品医薬品局)によって下されたBST(合成牛成長ホルモン)を投与された牛乳にラベル表示してはならないという指令を危惧しています。

この指令を書いたのは、センター長補佐官であるマーガレット・ミラー博士です。

しかし、ミラー博士は、FDAで働くようになる以前には、モンサント社でBSTの研究者として働いていたのです。

彼女は、ラベル表記に関するFDAの指令を書いている間も、モンサントの科学者と共同でBSTに関する論文を発表しつづけていました。

私たちは、それは明らかに利益相反行為であると考えています。

ご承知のように、もしBSTを投与された牛から採れた牛乳にラベル表示が付けられることになれば、消費者はその牛乳を買わなくなるでしょうし、モンサントが多くの利益を失うことでしょう

 

P.244

米国食品安全センター法務責任者ジョゼフ・メンデルソンは2006年7月こう述べている。 

 

「 事実上、アメリカの消費者の健康は、バイテク産業の善意にゆだねられることになりました。というのも、バイテク産業は政府のコントロールを離れて、自分達のGMO食品が安全かどうかを確認する資格を手にいれたわけですからね。

こんなことは合衆国の歴史上、前代未聞のことです!

FDAがあのような指令を起案したのは、バイオテクノロジー産業に『GMOは規制を受けている』という神話を与えるためでした。

しかし、」GMOが規制を受けているというのは、まったくのでたらめです。

この国は巨大な人体実験施設になってしまいました。

潜在的に危険な生産物が自由に出荷されるようになったにもかかわらず、消費者達に選択の余地を与えないまま、10年前から野放しになっているのです。

というのも『実質的等価性の原則』を理由にして、GMO商品であることを表示ラベルによって示すことが禁じられてしまったのです。

そのうえ、追跡調査がまったくおこなわれていないのです。」

 

 

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ちなみに日本のメディアが一大ブームを作り上げた糖質制限ダイエットですが、これは米国の心臓病専門医であったロバート・アトキンス(2003年死亡、享年72歳)が1972年に出版した『Dr. Atkins' Diet Revolution』(邦題:『アトキンス博士のローカーボ(低炭水化物)ダイエット』)(通称アトキンス・ダイエット)が元になっています。

アトキンス・ダイエットは分かりやすく言うと、炭水化物(例えば、お米)は身体に良くないが、肉はどれだけたくさん食べてもOKというダイエットの方法。

 

アトキンス博士の死亡原因は歩行中に転倒し頭部を強打したためですが、検視報告書によれば死亡時の彼の体重は117kg、また彼は高血圧と心臓病を患っており、その前年にも心臓発作を起こしています。

 

アトキンス博士の死亡によりその危険性が認知され、米国ではとうの昔にブームが過ぎ去った糖質制限ダイエットが、これほどまで日本のメディアに繰り返し取り上げられる理由を、上記の記事の内容、安倍首相が2016年2月に米国と交わした文書の内容と併せて考えてみてください。

日本での糖質制限ダイエットですが、当時第一人者と言われていた桐山秀樹氏(ノンフィクション作家)の2016年2月の心不全による突然死(享年61歳)により終息するかと思われましたが、2016年4月頃から「海外のセレブがアトキンス・ダイエットで減量に成功」というほぼ同じ内容の記事が様々なメディアから繰り返し投稿されており、非常に不自然に感じました。

 

また、この数年来テレビ番組でよく見る「元気なお年寄りは、肉をたくさん食べている。」という内容も、こういった内容がいつ頃からテレビで頻繁に流されるようになったのかを検証してみると、面白い事実が分かるかもしれません。

 

 上記に関連して当院HPの内容もお読みください → 体の不調の原因とは - -

 

 

 

 ・「UPOV条約」と「食料農業植物遺伝資源条約」という2つの流れ

UPOV(ユポフ)条約とは植物新品種保護国際同盟により制定された種子を知的所有権で独占する条約。

国連食糧農業機関(FAO)によりまとめられた食料農業植物遺伝資源条約は、種や苗などの世界の遺伝資源を共有しようという条約。この中にはこれらを守ってきた農家の権利が明記されている。

日本は2013年に食料農業植物遺伝資源条約を批准。

食料農業植物遺伝資源条約19条には、

「農民の権利としての自家採種の種苗の保存、利用、交換、販売する権利を有する」、「農民は種子についての意思決定に参加する権利を有する」

と規定されている。

2018年の日本政府による農家の声を無視した種子法廃止、そして種苗法改定による自家採種禁止は国際条約違反となる。

 

 

・変化の兆し

1996年以降激増していた遺伝子組み換え作物の栽培面積は、2015年以降頭打ちとなった。

2000年から2018年のあいだに、世界の有機市場は483%増加。

 

・在来種保護の動き

ブラジル:クリオーロ種子条例(2003)(在来種を守る条項)

韓国:在来種農産物保存・育成に関する条例(2008)、ローカルフード育成条例

イタリア・トスカーナ州:在来品種保護に関する地域法

EU有機農家の種子売買承認(2021~)

米国:先住民族種子保全法案(2019)

 

日本政府の方針は世界の潮流と真逆の方向に進んでいる。

 

 

・日本国内の取り組み

日本政府による種子法廃止以降、全国の都道府県の過半数で地域の種子を守る種子条例が制定されている。

もし皆さんの出身都府県が条例制定に取り組んでいなければ、是非要望してください。

国が守らないのであれば、地域が守るしかありません。

 

画像

 

現在、北海道と新潟の2道県には遺伝子組み換え作物の交雑防止に関する条例が制定されており、遺伝子組み換え作物の栽培をおこなおうとするものは、知事の許可を受けなければいけません。

 

北海道の条例↓

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/shs/05/anzen/gmjyourei.pdf

 

 

 

 

 

まとめ

1,種苗法改定法案は廃案へ。

2,農家の自家増殖権、特に公共品種の自家増殖を認めること。

3,公的種苗事業を守り、長期的に予算を保障すること。

4,生物多様性条約・名古屋議定書、食料農業植物遺伝資源条約を厳守し、日本国内の植物遺伝資源の海外での使用については議会承認を含む厳正な合意の元におこなうこと。同様に海外の遺伝資源の利用も相手国との合意に基づくこと。主権の行使においては社会の透明性を維持すること。

5,「ゲノム編集」含む遺伝子操作作物の種子に表示義務を明記し、「ゲノム編集」遺伝子組み換え作物との交雑防止対策を明記させること、交雑による損害賠償規定を盛り込むこと。

 6,在来種に関しては種苗法を適用させずに別の法律によって守ること。

7,種苗法とは別にあらたに在来種保全・活用法/条例を制定して、公的支援を確保しながら貴重な遺伝資源が失われずに、地域の食の中で活用できるよう政策を進める。種取りの重要性を訴え、社会として支えていくこと。

 

 

 

 

こちらは印鑰智哉さんのブログ↓

blog.rederio.jp

 

 

 

 

 参考書籍:

 

「タネはどうなる?!」 山田正彦

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モンサント」 マリー=モニク・ロバン著

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マリー=モニク・ロバンの著書「モンサント」からの抜粋。  

私がこの本で引用している資料の大多数は、インターネットで入手可能なものである。 

それらの情報を探し、互いの関係を検討するだけで、かなり多くのことが理解できるので、読者にもぜひ試していただきたい。 

おそらく読者も、やりだせば夢中になるだろう。 

インターネット上ですべての情報が見つかるのだから、もはや「知らなかった」という理屈は(とりわけ法律を定める立場にいる人々には)通用しないだろう。 

しかし、もちろんインターネット上の調査だけで十分であるわけがない。 

そのため、私はふたたび巡礼の旅に出発した。

 

 

 

 

最後に、

主要農産物種子法(廃止済)、農業競争力強化支援法(種子法廃止直後に成立)、そして種苗法、これらの法律をセットで考えなければ、種苗法改定法案に関する問題の本質は見えてきません。

もし私がこの法案を作る立場にいるとすれば、日本の農業を守るための抜け道を織り込んでおくと思いますが、そのようなものは無いようです。

この国の役人は日本人としての、あるいは自らの仕事に対する尊厳、誇りといったものを持ち合わせていないのでしょう。

ある意味では、可哀想な人達なのかもしれません。