「種苗法改正法案が成立するとどうなるのか-アメリカ篇」

 

政府が今国会での成立を目指している種苗法改正案において、農家の自家採種を禁止するのは「日本の種苗が海外に流出しないようにするため」と政府は説明しています。

例えば政府はシャインマスカットが海外に流出したことを例に挙げますが、本当にそのために農家の自家採種禁止が必要なのでしょうか?

 

以下は、元農林水産大臣・弁護士の山田正彦氏がFM TOKYOの江原啓之さんの番組内の対談で語った内容です↓

 

シャインマスカットは農研機構といって農水省の機関なんです。今は独立行政法人になりましたけどね。そこで開発した品種。

種子法廃止法案と同時に農業競争力強化支援法を成立させ、農研機構の品種でも8条4項で“海外の事業者を含む民間企業にその育種知権(知的財産権)を提供する”という法律を通したんです。

これを今更、海外流出を防ぐためというのは矛盾している。

それに国内法でもある。国内法で海外流出を食い止めるというのもあり得ない。

ただ、今でも(食い止めることが)できる道はある。

種苗法に21条4項というのがあって、自家採取はいくらやっても自由だけれど、海外に持ち出すのは禁止。消費以外の目的をもって輸出することは禁止されている。

それによって刑事告訴もできるし、海外に持ち出した者に対して民事の損害賠償もできることになっています。現行法です。

 

こちらは番組内の対談全文↓

www.tfm.co.jp

 

次に私がいつも参考にしているマリー=モニク・ロバン著「モンサント」内の、アメリカの現状。

モンサント社は遺伝子組み換え大豆を世界で初めて開発し、その後さまざまな遺伝子組み換え作物の開発によって世界の農業を牛耳ろうとしている会社です。

モンサント」には、モンサント社がこれまでに世界のあらゆる地域で行なってきた、信じられないような行為の数々が詳細に書かれています。

これが日本において種苗法改正案が通った場合の、未来の日本の姿かもしれません。

画面では読みにくいと思いますので、線を引いた部分のみ画像の下に抜粋いたします。

 

P.315-316

 

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P.316 

モンサントにとって、真の問題は農民たちだったのである。

世界中の農民が、前年に収穫した種の一部を取っておき、翌年に播くという、困った習慣を守っていたのだ。」

 

「いくつかの国では、農民たちは翌年に播くための種子を保存しています。

しかし、このような伝統的実践は、その種子にラウンドアップ耐性遺伝子のような特許対象が含まれている場合、この品種を開発した企業にとって厄介な問題になります。」

 

「『グローバル市場は、私たちの製品にとって、きわめて競合的』であり、『いくつかの国々で、私たちは国営種子会社と競合している』うえ、『種子を翌年まで保管する農家たちは、私たちの競争力に影響を与えている』」

  

「最初、その支払いは大豆1エーカー(0.4ヘクタール)あたり5ドルに設定されていたが、しだいに値上がりして6.5ドルになった。また、収穫物を次年度に種子として使用することを禁じる内容の契約条項も含まれていた。」 

 

 

 P.317-318

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P.317

「現在でも、モンサントの種子の購入にあたって、この同意書に必ず署名する必要がある。

しかし、その実情は過酷を極めている。

同意書の契約事項に違反した農民は、強制的にセントルイス裁判所に引っ張り出される。」

 

P.318

モンサントは、遺伝子組み換え種子をレンタカーにたとえています。

つまり、それを使用した後は、もとの所有者に返さなければいけない、というのです。

別の言い方をすると、モンサントは種子を販売しているのではなく、種子を1シーズンの間、貸しているだけだ、ということです。

種子に含まれる遺伝情報は、未来永劫にわたってモンサントの所有物だ、というわけです。」

 

 

P.319-320

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P.319

「ですから、私には来年の種蒔きのために種子を保存する権利がないのです。

それはモンサントなどのバイオテクノロジー企業を保護するためです。」

  

P.320-321

モンサントは農民に対する『数千件の調査と数百件の訴訟』を行ない、その結果として『膨大な人数の農民が破産』したことが示されたのだ。」

 

 

P.321-322 

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P.321

「『いかなる農民も、モンサントの傍若無人な調査と容赦ない訴訟から逃れることはできない。

ある農家は、隣人の畑に植えられた遺伝子組み換え植物から花粉や種子が自分の畑に飛来したために、モンサントから告発されることになった。

また、前年に作物を育てた畑に遺伝子組み換え種子と交配した種子が残り、それが翌年、非遺伝子組み換え作物を植えた畑の中に芽吹いた例もある。

ある農民たちは、モンサントの技術契約にまったく署名していなかったにもかかわらず、訴えられた。

どのような場合であれ、特許法が適用されるかぎり、農民の側に技術的責任があるとみなされる。』」

 

 

P.321-322

「この目録には2005年の照会当日までの90件の訴訟が記録されていた。

会社が勝ち取った違約金の総額は1525万3602ドル(約16億4740万円)、最高額は305万2800ドル(約3億3000万円)であった(訴訟には例外的に農民が敗訴しなかった事例もいくつか見られた)。

これらの訴訟により、8件の農場が破産している。」

 

P.322

「『スパイ回線』は1999年に1500件の電話を受け取り、そのうち500件が『調査』の引き金となった。

ワシントン・ポスト』は慎重な言葉遣いで『地域共同体を支える社会的な絆を解体しようとしている』と批判した。

 

 

マリー=モニク・ロバン著「モンサント」には、日本に関する記述も「日本語版解説」として、遺伝子組み換え情報室の河田昌東氏により書かれていますので、こちらも紹介いたします。

 

P.521-522

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P.521

「本書(333貢)にも登場するカナダのパーシー・シュマイザーさんは、親子三代にわたるナタネ栽培農家だったが、1998年、突然、モンサントに訴訟を起こされた。

彼の畑にモンサントの除草剤ラウンドアップ耐性ナタネが生えており、特許の侵害だ、という理由であった。

モンサントは、他人の畑に侵入し勝手に作物を検査することで知られる。

裁判の中で、モンサントは、シュマイザーさんがGMO(遺伝子組み換え)ナタネを栽培したことは証明できなかったが、畑にGMOナタネが生えているという事実認定により、カナダ最高裁は、2002年9月、モンサントの主張を認め、彼は敗訴した。

彼が意図的に栽培した事実はないことも認められ、モンサントが要求した損害賠償は免れたが、それ以降、1000ヘクタールを超える畑にナタネを栽培することはできなくなった。

GMO遺伝子を含むこぼれ落ちたナタネ種子は勝手に自生し、それ以降も生え続けるため、ふたたび訴えられる恐れがあるからである。

 

この事件は、私たち日本人にとっても他人事ではない。

日本は年間200万トンを超えるナタネ種子をカナダから輸入しているが、現在、その90%は遺伝子組み換え体である。

2004年に初めて茨城県鹿島港周辺での自生が農水省から報告され、私たち(遺伝子組み換え食品を考える中部の会)は、名古屋港と三重県四日市港などナタネ輸入港周辺でのGMOナタネの自生調査を行なってきた。

港に陸揚げされてから製油所までの輸送途中でトラックなどからこぼれ落ち、道路脇や中央分離帯GMOナタネが数多く自生しているのである。

2006年以降、毎年2回にわたって多くの市民に呼びかけ、『抜き取り隊』を組織してきた。

毎回1000本に及ぶGMOナタネを回収するが、いまだに駆除は成功していない。

本来、特許を主張するのであれば、モンサントはこうした事態に対処すべきだが、まったく無視している。

 

本来2010年10月、名古屋で開催された『COP10生物多様性条約締約国会議)』と『MOP5(カルタヘナ議定書締約国会議)』でも、私たちはこの問題を取り上げ、各国の参加者の関心を呼んだ。

その最中に、三重県が重大な発表をした。

三重県はもともとナタネ栽培に適した気候風土であり、『ナバナの里』など観光用や食用のナタネの大規模栽培が行なわれてきたが、これまではすべて自家採種によって種子を確保してきた。

しかし、GMOナタネの自生が広がったことにより、除草剤耐性遺伝子が入り込む危険が生じたため、県内でも自家採種を中止すると決めたのである。

これはカルタヘナ議定書に定める『GMO作物による損害と賠償』に抵触する事例である。

 

 

P.523

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P.523

「一例を紹介する。大豆の多くは、家畜飼料に利用される。

その際、加熱処理(110℃/10分)をして消化不良などにならないようにするのが通例である。

モンサントは、加熱実験をTexas A & M社に依頼した。

親株の非GMO大豆とラウンドアップ耐性大豆が比較された。

生大豆どうしの比較では、熱抵抗性蛋白質ウレアーゼや消化酵素阻害剤のトリプシン・インヒビターの活性は変わらなかった。

しかし、108℃/30分で加熱すると、非GMO大豆ではこれらの蛋白質は速やかに活性を失ったが、ラウンドアップ耐性大豆では活性が失われなかった。

モンサントは、GMO大豆だけが加熱不十分だったとしてこれをつき返し、再度加熱させた。

しかし、結果は同じだった。

結局、モンサントは再再加熱条件として220℃~230℃/25分を指定し、GMO大豆だけを加熱した結果、これらの蛋白質は活性を失った。

この条件は家畜飼料の製造工程ではありえない条件だが、これをもってモンサントは両者に違いはない、と結論したのである。

これは明らかに科学の詐称である。

 

 

 

上記の「モンサント」の抜粋を読んだ上で、以前の記事に書いた、安倍首相が米国と取り交わした文書の内容を再度お読み下さい↓

 

 

以下は2016年2月4日、TPP協定付属文書として安倍首相が米国と交わした文書の一部です。

3,規制改革

日本国政府2020年までに外国からの対外直接投資残高を少なくとも倍増させることを目指す日本国政府の成長戦略に沿って、外国からの直接投資を促進し、並びに日本国の規制の枠組みの実効性及び透明性を高めることを目的として、外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める。

意見及び提言は、その実現可能性に関する関係省庁からの回答とともに、検討し、及び可能な場合には行動をとるため、定期的に規制改革会議に付託する。

日本国政府は、規制改革会議の提言に従って必要な措置をとる。

 

 

 

これで、なぜ日本国政府が「農家の自家採種禁止」にこれほどまでに固執し、今国会での成立を目指しているのかが、分かっていただけると思います。

種苗法改正案は、日本の農業を遺伝子組み換え企業のモンサント社など海外の企業に売り渡すための法改正(改悪)と言っても過言ではありません。

 

マリー=モニク・ロバン著「モンサント」の内容を読み、日本では遺伝子組み換え作物が栽培されていないのだから大丈夫だと考える人がいるかもしれませんが、それは誤りです。

日本政府は世界の流れに逆らってアメリカに倣い通常育種による生物特許を認めたまま、育種を海外の企業を含めた民間企業に任せる方針を打ち出しています(国会においても、この中にはモンサントなどの企業が含まれると政府は認めています)。

ですからマリー=モニク・ロバンの著書「モンサント」に書かれている内容と日本の特許の現状を考えると、企業側が生物特許を盾に、遺伝子組み換え作物以外の遺伝子編集作物や一般作物でも、農家に対して損害賠償裁判を起こす可能性が十分にあるということです。

また農家の自家採種が禁止となり、さらに農業競争力強化支援法に従って公的機関が育種をすることが出来なくなれば、企業は遺伝子特許を取得した種を販売することで、毎年、種の一粒一粒から特許料を徴収することが出来ます。

企業が種苗の価格を自由にコントロールすることも可能です。

 

 

私も北海道の農家出身ですので、この法律によって日本の農村部、更には日本全体が崩壊するなど見るに堪えません。

国会議員の方々は与党、野党に関わらず、日本の未来、日本の子供達の未来を考えるのであれば、正しい選択をしていただきたいと思っています。

 

 

日本の農林水産省は、モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」に耐性を持つ大豆である「ラウンドアップレディ」が、日本国内においても栽培出来るような準備も進めています。 

次回はこの件も含めて、

 

「日本国内の『除草剤ラウンドアップ』の使用基準、残留基準に関する事実。」

 

というタイトルで記事を書きたいと思います。

 

 

 

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