「持続可能な開発のための2030アジェンダ」

今回は「持続可能な開発のための2030アジェンダについてです。

 

「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、平成27(2015)年9月25日に、ニューヨーク・国連本部で開催された国連サミットにおいて採択されました。

 

 

持続可能な開発のための2030アジェンダ

 

平成28(2016)年から令和12(2030)年までの国際社会共通の目標です。

 

持続可能な開発目標(SDGs)17ゴール

 

1. 貧困の撲滅

 

2. 飢餓撲滅、食料安全保障

 

3. 健康・福祉

 

4. 万人への質の高い教育、生涯学習

 

5. ジェンダー平等

 

6. 水・衛生の利用可能性

 

7. エネルギーへのアクセス

 

8. 包摂的で持続可能な経済成長、雇用

 

9. 強靭なインフラ、工業化・イノベーション

 

10. 国内と国家間の不平等の是正

 

11. 持続可能な都市

 

12. 持続可能な消費と生産

 

13. 気候変動への対処

 

14. 海洋と海洋資源保全・持続可能な利用

 

15. 陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性

 

16. 平和で包摂的な社会の促進

 

17. 実施手段の強化と持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップの活性化

 

 

これらが国連サミットにおいて採択され、環境省が積極的に進めている内容です。 

環境省のサイト から特徴を一部抜粋↓

 

・平成28(2016)年から令和12(2030)年までの国際社会共通の目標。

・先進国を含む全ての国に適用される普遍性が最大の特徴。

・採択を受けて、各国・地域・地球規模でアジェンダの実施のための行動を起こす必要があり、それらの行動のフォローアップ及びレビューが必要。

環境省としてアジェンダの実施に向け、気候変動、持続可能な消費と生産(循環型社会形成の取組等)等の分野において国内外における施策を積極的に展開。

 

 

こちらは環境省のサイト↓

環境省_持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs


現在は日本国内の企業も「 持続可能な開発のための2030アジェンダ」の方向性に従って、様々な取り組みを始めています。

 

 

そして新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の中、安倍内閣農林水産省が連休明けにも成立させようとしている「種苗法改定案」。

この「種苗法改定案」は、国連、そして日本の環境省が進めている「 持続可能な開発のための2030アジェンダ」の方向性と真っ向から対立する内容です。

 

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」全17ゴールのうち、農林水産省に関連する部分を特に3つ挙げると、

 

2. 飢餓撲滅、食料安全保障

12. 持続可能な消費と生産

15. 陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性

 

しかし、安倍内閣農林水産省は、「日本の種苗が海外に流出することを防ぐため」という名目で「農家の自家採種を禁止」し、もし農家が届け出をせずに翌年のための種を採った場合、その農家を処罰すると言っています。

 

では上記の3点、それぞれについて考えてみます。

 

2. 飢餓撲滅、食料安全保障

 

安倍内閣農林水産省2017年に農業者の大反対を押し切って、主要3品(米、麦、大豆)の種子を政府として保護する種子法を廃止しました。

種子法廃止によって、公的機関が担ってきた主要3品(米、麦、大豆)の種子の安定供給が困難になろうとしています。

また安倍内閣農林水産省は種子法廃止法案と同時に農業競争力強化支援法を成立させ、その8条4項には“海外の事業者を含む民間企業にその育種知権(知的財産権)を提供する”とあります。 

農林水産省食糧産業局知的財産課は、“日本の種苗の海外流出を防ぐ唯一の防衛策は、日本以外の国での品種登録である“と明言しています。

また、農業競争力強化支援法により“海外の事業者を含む民間企業にその育種知権(知的財産権)を提供する”と決定しておきながら、今更、日本の種苗が海外に流出することを防ぐため農家の自家採種を禁止する、というのは完全に矛盾しています。

 

 

さらに現在、新型コロナウイルスの影響で、食料輸出国が輸出制限を始めています↓

www.agrinews.co.jp

今後、食料の輸出制限を始める国が、更に増える可能性は十分にあります。

 

 

 

12. 持続可能な消費と生産

 

食料のみにとどまらず現在日本の種苗会社も含めて、多くの種は海外で生産されたものです。

感染症に限らず、もし海外の種子生産地に気候、政治、経済などの問題が発生した場合、農家が翌年に播く種も日本に入ってこなくなるかもしれません。

このような状況で農家の自家採種が禁止されると、農家が種を播きたくても、その種が手に入らないという事態に陥る可能性があります。

日本の公的機関による種子の安定供給もできない、農家の自家採種もできない、そして海外からの種子も入ってこないとなった場合、持続可能な食料生産が出来るのでしょうか?

 

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また国連食糧農業機関(FAO)によりまとめられた、種や苗などの世界の遺伝資源を共有しようという食料農業植物遺伝資源条約には、これらを守ってきた農家の権利が明記されています。

日本は2013年に、この食料農業植物遺伝資源条約を批准しています。

 

食料農業植物遺伝資源条約19条には、

 

「農民の権利としての自家採種の種苗の保存、利用、交換、販売する権利を有する」

「農民は種子についての意思決定に参加する権利を有する」

 

と規定されています。

 

2018年の安倍内閣農林水産省による農家の声を無視した種子法廃止、そして種苗法改定による自家採種禁止は国際条約違反となります。

 

 

15. 陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性

 

今回の種苗法改定では、日本の在来種の種苗も危機に瀕する可能性があります。

 安倍内閣農林水産省が今国会において成立させようとしている新たな種苗法には、以下のような制度が追加されています。

  

・推定制度、判定制度の創設

「推定制度」ーー登録品種の審査特性により明確に区別されない品種(育成者権侵害)は当該登録品種と特性により明確に区別されない品種と推定することができる。

「判定制度」ーーある品種が育成者権侵害であるかどうかを、農林水産大臣が判定することができる。

 

つまり裁判を経ること無く、育成者権を侵害しているかどうかを判定されてしまいます。

判定にはDNAマーカーで品種を特定できるものは少ないため、子葉、草姿、葉、根などを記した「特性表」というものが用いられますが、もしたまたま登録品種と特性が一致していた在来品種があった場合、全く違う遺伝子にも関わらず、同一品種とされ、その在来品種の栽培が禁止されてしまいます。

当然、在来品種は登録品種よりも遥か昔から存在するにも関わらずです。

品種登録はかなりの資金がなければ出来ませんので、結果的に多国籍企業など資金力のある企業が登録した登録品種は守られるが、在来種や非登録品種を守る制度が無いということになります。

 

 

また海外においては、生物多様性の観点からも在来種保護の動きが加速しています。

 

ブラジル:クリオーロ種子条例(2003)(在来種を守る条項)

韓国:在来種農産物保存・育成に関する条例(2008)、ローカルフード育成条例

イタリア・トスカーナ州:在来品種保護に関する地域法

米国:先住民族種子保全法案(2019)

EU有機農家の種子売買承認(2021~)

 

 

 

 安倍内閣農林水産省は、今国会で農家の自家採種を禁止する種苗法を成立させようとしていますが、ここで再度「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の特徴です↓

 

・平成28(2016)年から令和12(2030)年までの国際社会共通の目標。

・先進国を含む全ての国に適用される普遍性が最大の特徴。

・採択を受けて、各国・地域・地球規模でアジェンダの実施のための行動を起こす必要があり、それらの行動のフォローアップ及びレビューが必要。

環境省としてアジェンダの実施に向け、気候変動、持続可能な消費と生産(循環型社会形成の取組等)等の分野において国内外における施策を積極的に展開。

 

再び、持続可能な開発のための2030アジェンダの特に農業に関する部分↓

 

2. 飢餓撲滅、食料安全保障

12. 持続可能な消費と生産

15. 陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性

 

 

 

安倍内閣農林水産省が連休明けにも成立させようとしている新たな種苗法は、国際社会共通の目標に反し、日本を食料安全保障、持続可能な生産、生物多様性の面において危機に直面させる法律と言えます。 

本来ならば他の省庁や一般企業の見本となるよう、どこよりも「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を積極的に推進しなければいけない立場の農林水産省が、このような法律を成立させようとしていることを、環境省はどのように考えているのでしょう?

 

 

 

 

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