「改定種苗法対策、北海道グッジョブ!!」

昨年の初めころから、日本政府・農林水産省は登録種苗の海外流出防止を理由に種苗法の改定を目指し、2020年11月17日に国会において審議・可決され、12月2日に成立、同9日に公布されました。

この種苗法改定に関しては様々な問題点があり、私もかなりの数の記事を書きました。

更に、私のブログ記事を読んだ農林水産省食料産業局知的財産課の担当者から、種苗法について説明したいと直接当院に電話がかかってきて、1時間ほど種苗法に関して話し、具体的な私の提案を担当者に電話で説明したこともありました。

しかし、残念ながら2020年11月17日に可決された種苗法には、私の提案は全く取り入れられることはありませんでした。

昨年、私が種苗法に関して書いた記事の一部です↓

 

「種苗法改正法案の問題点」(動画)

 

「種苗法に関して更に調べてみた(1/3)。」

 

「シャインマスカット苗は2010年前後には誰でも合法的に購入して合法的に海外に持ち出すことが出来た(現在も可能)。」

 

「農水省からTELがありました。」

 

「種苗法に関して更に調べてみた(2/3)。農水省との一問一答(1/2)」

 

種苗法改定に関しては、私と同様に多くの人たちがその問題点を指摘していましたが、特に元農林水産大臣山田正彦氏は、映画、講演会、ブログなど様々な方法でその問題点を発信していました。

先日、久しぶりに山田正彦氏のブログをチェックしてみましたが、「長野県や北海道では改定前の種苗法と同様に農家の許諾手続きや代価を不要とし、農家の負担を減らして自家採種(増殖)を自由にした」という、うれしいニュースが書かれていました↓

ameblo.jp

 

さっそく長野県と北海道のサイトをチェックしてみると、北海道が決定した対策は私が

農林水産省食料産業局知的財産課の担当者に電話で提案した内容とほぼ一緒だということが分かり、更にうれしくなりました。

農家、地域、日本の国益などを総合的に考えて立案すると、同じような内容になってくるのでしょう。

www.pref.hokkaido.lg.jp

 

上記サイトのスクリーンショットです↓

f:id:hakusanoste:20211120125117p:plain

(北海道の方針公表日:2021年8月6日)

改定された種苗法の内容を把握し、今年度の収穫物からの採種に間に合うように方針を公表した道総研の担当者は相当に有能ですね。

 

こちらは、2020年6月8日の私のブログ記事「種苗法に関して更に調べてみた(2/3)。農水省との一問一答(1/2)」スクリーンショット

 

f:id:hakusanoste:20211120125222p:plain

 

私が2020年6月に電話で農林水産省食料産業局知的財産課の担当者とお話した際には、

税関、検疫所に種苗を持ち込む際には、販売日・品種名などを記入した種苗業者の販売証明書の添付を義務づける。

登録品種ならば持ち出し禁止、一般品種ならば持ち出しOKとする。

という提案をして、これならば農家の自家増殖許諾制は不要になるのではないかと尋ねてみました

しかしこの場合でも農水省の担当者は、

税関(財務省)・検疫所(厚生労働省)の職員が見落とす可能性があるので、税関・検疫所の職員の見落としを想定すると、やはり農家の自家増殖の許諾制は必要。

との回答でした。

 

改定種苗法では農家が申請をせずに登録種苗の自家増殖をおこなった場合、10年以下の懲役または個人農家が1千万円以下、法人が1億円以下の罰金を科せられることになっていますが、農水省職員の回答によれば、

登録種苗の海外流出を防ぐために全国130万戸の農家にこのような罰則のある自家増殖許諾制を履行させる理由は、税関(財務省管轄)と検疫所(厚生労働省管轄)において、持ち込まれた登録種苗を職員が見落とす可能性があるため」

ということになります。

 

一方、農林水産省の試験研究機関から独立行政法人となった農研機構は、相変わらず個人を特定できない不特定多数の人たちにシャインマスカットなどの登録品種の苗を、種苗店、ホームセンターなどで大量に販売しており、購入者は身分証明を一切必要としません。

これは日本人も外国人も同様で、農林水産省はこの現状に対して全く規制をかけていません。

つまり、今後も個人を特定できない誰かが農研機構開発の登録品種を種苗店などで購入して、税関(財務省管轄)や検疫所(厚生労働省管轄)に持ち込む可能性は十分にあるわけです。

こういったケースを想定して、私は農林水産省食料産業局知的財産課担当者に、

税関、検疫所に種苗を持ち込む際には、販売日・品種名などを記入した種苗業者の販売証明書の添付を義務づける。

登録品種ならば持ち出し禁止、一般品種ならば持ち出しOKとする。

という提案をしたのですが、2020年11月17日に審議・可決された改定種苗法には、私の提案は一切取り入れられませんでした。

その結果、税関(財務省管轄)や検疫所(厚生労働省管轄)に誰かが種苗を持ち込んだ際には、担当者はポットに付いているラベル程度の情報しか無い状態で、その種苗が登録品種なのか一般品種なのかを判断しなければならず、担当者が判断を誤れば登録種苗の海外流出ということになります。

その場合、責任は税関(財務省管轄)や検疫所(厚生労働省管轄)の職員にあるのでしょうか?

それとも不完全な種苗法改定案を作成した農林水産省にあるのでしょうか?

 

北海道が改定種苗法に対して今回紹介したような対策を打った今、おそらく種子法が廃止されたときに多くの県が条例を制定したのと同様に(現在28の道県が制定、最初に条例を制定したのは新潟県兵庫県、埼玉県)他の多くの県が北海道に追随することが予想されます。

 

農研機構が、外国人も含めた個人を特定できない不特定多数の人たちに登録種苗を大量に販売していることを放置したままの農林水産省は、

税関(財務省管轄)と検疫所(厚生労働省管轄)において、持ち込まれた登録種苗を財務省厚生労働省の職員が見落とす可能性があるため」

という理由で農家や農協に多大な負担を強いる種苗法改定案を通したわけですが、今回説明したような不完全な法律のために、持ち込まれた品種が登録品種なのか一般品種なのかという日本の国益にかかわる重大な判断を、僅かな情報を元にして下さなければならない財務省厚生労働省の職員が不憫でなりません。