「六代目 神田伯山 襲名・真打披露公演」(動画)
神田松之丞改メ 六代目 神田伯山 襲名・真打披露公演がありました。
私が神田伯山の講談を初めて聴いたのは真打になる少し前くらいなので、前座時代から応援してきた人達と比較すると全くの新参者ですが、初めて聴いて「これは凄い!」と思い、それ以来神田伯山の講談を聴くようになりました。
六代目 神田伯山のプロフィールはこちらをどうぞ↓
昨年2月に真打昇進とともに神田松之丞から六代目 神田伯山を襲名し真打披露公演を行なっていましたが、コロナ禍により昨年3月中旬以降の真打披露公演が全て中止となり、今回厳しい感染症対策のうえ真打披露公演を再開しました。
通常は終演後に演目の立て看板があるのですが、コロナ禍の現在は写真を撮る人達による密を避けるために講談、落語ともに立て看板を置かなくなってしまいました。
こちらは夢空間のツイートから↓
六代目 神田伯山 襲名・真打披露公演において演じた方々(敬称略)。
神田松麻呂
神田松鯉一門、神田伯山の弟弟子。
神田松鯉一門、神田伯山の兄弟子で今回の会場である神奈川県民ホールのある横浜市出身。(会話では先輩の女性講談師を〇〇姉さんなどと呼ぶことが多いですが、女性も兄弟子で良いのでしょうか?誰か教えてください。)
講談協会所属の講談師。神田伯山は宝井琴調からも多くの読み物を学んできた。(注参照)
神田伯山の師匠。人間国宝。
若手の頃から桂三枝の名でテレビ等で活躍。2011年に六代目桂文枝を襲名。天満天神・繁昌亭をオープンさせるなど上方落語の再興に尽力する。
注:
講談界には講談協会と日本講談協会の二つの協会がある。神田伯山は日本講談協会に属しているが両協会は交流が多く、他協会の講談師のところに学びに行くこともある。
口上写真(左から神田阿久鯉、宝井琴調、神田伯山、神田松鯉、桂文枝)(敬称略)↓
(こちらの写真も夢空間のツイートから)
口上のあとに六代目 桂文枝師匠の演目「笑わない男」、そしていよいよ主役の六代目 神田伯山の登場。
演目は六代目 神田伯山 襲名・真打披露公演に相応しい「東玉と伯圓」。
こちらは初代 神田伯山の兄弟子であった伯海を主人公とした講釈師名人伝の一つ。
あらすじはこちらをどうぞ↓
http://koudanfan.web.fc2.com/arasuji/04-20_tougyokuhakuen.htm
この演目は以前に明治座でも聴いたことがあるのですが、その時の席は2階席の後ろの方でした。
しかし今回は、かなり前の方の席でしたので、席が舞台から近いだけあって迫力が違いました。
また伯山は枕も大変面白いのですが、今回の枕では六代目 神田伯山を襲名する前に五代目の弟子だった方にお会いした際の秘話など、普段はなかなか聞けないようなエピソードも披露してくださり、いつも以上に楽しむことが出来ました。
彼の講談を聴いていて、この演目は泣かせるような場面はほとんど無いのですが、なぜか途中でじんわりと涙が出てきてしまいました。
この演目の主人公である神田伯海改め松林亭伯圓は、言葉の粒が立っていて早口になるような場面でも非常に聴きやすい講釈だったそうです。
六代目 神田伯山は様々な人が彼のどこが凄いのかということを解説しています。
その表現力、寄席で鍛えられたために長尺物を決まった時間内に収める能力等々、多々あると思いますが、私個人的には伯山の凄いところの一つは、松林亭伯圓と同じように言葉の粒が立っていて、とにかく聴きやすいことではないかと思っています。
講談には古い言い回しや当時の武将の名前なども多く出てきますが、言葉が聞き取りにくいとそのことに気を取られているあいだに、話しがどんどん先に進んでしまうのです。
しかし伯山のように言葉の粒が立っていて聴きやすいと、純粋にそのストーリーの中に入り込んでいくことが出来ます。
また講談や落語は一人の人間が複数の人間を演じ分けるわけですが、神田伯山は各々のキャラクター設定がしっかりとしていて、声のトーンや話し方で今話しているのが誰なのかがすぐに分かります。
これは名人と呼ばれる人達の共通点だと思います。
たとえ芸歴が長くても、この部分がしっかりと出来ていないために、「いったい今しゃべっているのは誰だ?」と混乱してしまう人が結構います。
江戸時代には江戸だけで二百六十数軒の講釈場があったそうですが、現在の東京には2011年に本牧亭が閉館してから講談の定席はありません。
六代目 神田伯山には講釈場を作りたいという想いがあるそうなので、今後更に講談師が増えて講釈場が出来た暁には、ぜひ聴きに行きたいですね。
今後も講談界を盛り上げてください!!
彼にはyoutubeに神田伯山ティービーというチャンネルがあるので、その中からおすすめの動画を三つほど紹介いたします。
「中村仲蔵」は立川志の輔師匠の落語も素晴らしいので、気になった方は機会があれば聴いてみてください。
二ツ目時代に訳あって一度封印した、神田伯山が前座時代に作った新作講談。神田伯山ティービーでは前座初演ver、二ツ目封印ver、そして真打披露目verと三つのバージョンを見ることが出来るので、それぞれを聞き比べるのも面白いと思います。
昨年2月の襲名・真打披露興行に爆笑問題がゲスト出演した回、爆笑問題はやはり凄いです。
こちらはテレビ番組の太田伯山公式チャンネルから、神田伯山が講談師になるきっかけを熱く語った回↓
上の動画を見ると、「ではなぜ落語ではなく、講談を選んだのだろう?」という疑問が湧くと思いますが、そのことについて語っていた対談がありました↓
こちらは神田伯山の想いを語った2020/06/17の記事↓
興味がある方は言っていただければ、私が持っているCD、DVDもお貸しします(現在、知人のところにありますので返ってきてからとなります)。
参考: