「昨年と今年の電気料金を比較してみた。」
現在の世界情勢の影響により、ヨーロッパ諸国を中心に電気料金が高騰しているようです。
2022/08/31のニュース
上記記事抜粋↓
「ある小さな町の店は前年から3万3000ポンド(約530万円)もエネルギーコストが増えた」。 英BBCは、一般家庭と異なり、企業にはエネルギー価格の上限規制が設けられていないため、負担額はさらに膨らむ見通しだと報じた。
英メディアが伝えた不動産顧問会社の調査によると、今年上半期にイングランドとウェールズでは約200軒のパブが閉店し、総数は4万軒を割り込んだという。
2022/09/13のニュース
上記記事抜粋↓
天然ガスの価格高騰によって、ドイツでは2022年に入って電気代が600%以上値上がりしている。
2022/09/14のニュース
上記記事抜粋↓
英ガス電力市場監督局は8月下旬、「家庭用の電気・ガス料金が今年10月から80%引き上げられ、標準世帯で年額3549ポンド(約57万5000円)になる」ことを明らかにした。英国の発電用燃料に占める天然ガスの比率が高い(約40%)ことが災いしている。
日本においても電力会社の燃料費高騰による電気料金「燃料費調整制度」上限撤廃のニュースがありました。
燃料費がダイレクトに反映されて、一般家庭の電気代も大幅に上がる可能性があるということです。すべての家庭ではなく、電力会社が料金を設定できる「自由料金」などの一部プランの契約者が対象になります。
東京電力にも自由料金プランがあり「燃料費調整制度」の上限がありませんので、ご自宅がどのようなプランで契約しているかご確認することをお勧めします。
上記ページからの抜粋↓
「なお、現在、自由料金プランにご契約いただいているお客さまが、従量電灯Bなどをお選びいただくことも可能ですが、今後の燃料価格の動向やお客さまの電気のご使用状況などによって、割安にならない場合もございますので、予めご承知おきください。」
私個人の考えでは、今後の世界情勢を考えると自由料金プランのご家庭は通常の「燃料費調整制度」の上限がある、他のプランに変更しておいた方が無難かもしれません。
・燃料費調整制度とは
燃料費調整制度は、事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させると同時に、事業者の経営環境の安定を図ることを目的とし、平成8年1月に導入されました。燃料の価格が大幅に上昇した際の需要家への大きな影響を和らげるため、自動的に調整される料金の幅に一定の上限(基準時点の+50%)が設けられています。一方、下限値は設定されていません。
次に白山オステオパシーの2021年と2022年の8月の電気料金を比較してみましょう。
2021年(令和3年)8月
2022年(令和4年)8月
2021年(令和3年)8月
使用量 385kwh
請求金額 12,079円
燃料費調整額 -1,197円
再エネ発電賦課金 1,293円
2022年(令和4年)8月
使用量 378kwh
請求金額 15,001円
燃料費調整額 1,927円
再エネ発電賦課金 1,304円
2021年と2021年を比較すると、使用量は385kwhと378kwhでほぼ一緒。
請求金額は2021年が12,079円、2022年が15,001円と約3,000円、25%ほど上昇しています。
そして最も大きな違いは燃料費調整額が2021年の-1,197円から、2022年の1,927円となっていることです。
燃料費調整額分が、昨年と今年の1か月の電気代の差額とほぼ同一だということが分かります。
もし燃料費調整額の上限を設定していないプランだったらと考えると恐ろしいです。
しかしドイツの電気料金が2022年に入って600%上昇、イギリスの電気料金が標準世帯で年額3,549ポンド(約57万5000円)と比較すると、かなり上昇率は低く抑えられていると言っても良いかもしれません。
では、この差はどこから来ているのだろうかと私なりに調べてみましたが、一つは日本政府による燃料費調整制度が機能していること、そしてもう一つは発電用の燃料をどこから調達しているのかの違いによるのではないでしょうか。
残念ながらイギリスのデータを見つけることはできませんでしたが、日本とドイツのデータがありました。
日本のデータ(2021年11月15日更新)
日本は原油の90%以上を中東、石炭の約70%をオーストラリア、天然ガスはオーストラリア、マレーシア、カタールの3か国で全体の約60%を占めています。
次にドイツです。こちらは原油が2019年、石炭と天然ガスが2020年のデータとなっています。
ドイツは旧ソ連やロシアに大きく依存していることが分かります。
日本では、その良し悪しは別として電力需給逼迫の対策として原発再稼働の論議がなされていますが、ドイツは原発2基の稼働を来年4月まで延長しましたが、現在も政府の原発ゼロを目指す政策は変わっていません(ただし原発大国のフランスから電気を購入するという矛盾したことを行っていますが・・・)。
ドイツにおける電気代高騰の最大の要因は、燃料をロシアに大きく依存していることでしょう。
上記記事抜粋↓
ロシアのペスコフ大統領報道官は5日、欧米の経済制裁が解除されるまで、供給停止を継続する可能性を示した。ノルドストリームをめぐっては、独シーメンスのカナダ工場で修理中だったタービンが制裁のために戻らないとして、6月半ばに供給量を4割に削減。さらにロシア側はタービンが1基しか稼働できないなどとして、7月には供給量を2割に削減していた。
現在、日本の電気代はそれほど大きく上昇していませんが、現在の状況が続けば更に上昇していくはずです。
西側のロシアへの経済制裁に同調している日本にとって、今回は日本のロシアからのエネルギー依存が少なかったことが幸いしていますが、原油の90%以上を中東に依存している訳ですから、中東有事の際は大きな影響を受けるに違いありません。
現実問題として、今すぐに政府が出来ることは国内の消費電力を減らすことではないでしょうか?
電気自動車や家庭用ソーラーパネルに補助金を出すくらいならば、LED照明購入費用など消費電力抑制のために補助金を出した方が、遥かに日本のエネルギー対策として意義があると思います。
次回は、電力の消費を抑えるということについて考えてみたいと思います。
2022/09/15 20:35 追記:
一度記事を公開してから、こんな記事を見つけました↓
ロシアからの輸入量はアジア、ASEAN、中東と比較するとまだ少ないですが、他の地域からの輸入量が軒並み減少していることを考えると、現在のドイツ、イギリスなどの状況は日本も他人事ではなくなるかもしれません。