「西之島」(動画)

小笠原諸島西之島(東京都)の火山活動が再び活発化しています。

11日夜には、赤く熱せられた溶岩が火口の上空約200メートルまで噴出している様子が見え、

「これほど大規模な噴出は、2013年からの観測で初めて」

だそうです。

噴石や溶岩が火口周辺に降り積もって生じた「火砕丘(かさいきゅう)」は、19年12月に噴火が再開する前は高さ約160メートルでしたが、今回は約200メートルと見積もられています。

島の面積は噴火の再開から広がり続け、6月5日現在で約3.9平方キロ(東京ドーム83個分)。  

西之島では6月中旬からほぼ毎日、高さ約2000メートル以上の噴煙が確認されており、7月4日にはこれまでで最高の約8300メートルに達しました。

 

元記事↓

news.yahoo.co.jp

 

 


西之島の最新映像 真っ赤な溶岩噴き出し噴煙1300m(20/07/15)

 

 

 火山の噴火と地震には関連があると言われますが、火山の噴火はプレートとプレートがぶつかり合う部分に蓄えられた圧力を逃がすための、圧力弁の役割を果たします。

 

地球という惑星は変化の激しい不安定な表面を持つ惑星の一つで、他の惑星の中には地球のように激しい火山活動が存在しない惑星も数多くあります。

では、なぜ地球上では激しい火山活動が起きるのでしょうか?

それは地球上には、膨大な量の水が存在するからです。

地球の表面を少しずつ移動しているプレートは、実際にはこの惑星の上に半ば浮いているような状態とも言えます。

プレートには大陸プレートと海洋プレートがあり大陸プレートと海洋プレート、または海洋プレートどうしが衝突した場合、比重の大きいプレートが比重の小さいプレートの下に沈み込み、深い海溝を形成します。

大陸プレートは海洋プレートより比重が軽いため、この2つが衝突した場合は海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいきます。

そしてこの境界面では、とてつもない圧力が発生することになりますが、大陸プレートの下に沈み込む海洋プレート表層には大量の水が含まれており、プレート同士がぶつかり合う圧力により、プレート境界面に含まれる水分は超高圧のため100℃を超える高温となります。

その高温高圧の水とマントルが融合してマグマとなりフロントと呼ばれる隙間を上昇していきます。

上昇するにしたがって徐々に圧力が下がり、それとともにマグマに含まれる水は気化、その結果体積が膨張します(水と水蒸気の体積比は1:1700)。

その気化した水分の圧力を開放する蒸気バルブの役割をするのが火山の噴火なのです(下部にある西之島周辺プレート断面拡大図を参照してください)。 

例えて言うならば「圧力釜の安全弁」のような働きをしているのが、火山の噴火ということになります。

 

 

地球上の主なプレート

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プレートテクトニクス - Wikipedia

 

 

環太平洋火山帯の位置、および各プレートの境界線

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https://blog.goo.ne.jp/plum2185/e/b21826b7feab2338932ff79ba8b19b0a

 

 

f:id:hakusanoste:20200716222337j:plainhttp://www.eri.u-tokyo.ac.jp/2015/10/16/map/

 

 

日本周辺のプレート 

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 https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/jishin/about_eq.html

 

 

上記の図を見ても分かるように、大平洋プレートと他のプレートの境界面、環太平洋火山帯、そして世界の主な震源分布は一致します。
また、日本周辺のプレートの移動は大平洋プレートの沈み込みが8cm/年、フィリピン海プレートの沈み込みが3~5cm/年とスピードが速く、そのため日本周辺は世界でも有数の火山活動が活発で、地震の多い地域となっています。

  

ところで現在噴火活動が活発化している小笠原諸島西之島ですが、西之島の位置を調べていると「生活の芽」というサイトに、「西之島は3つのプレートが1カ所で接する三重点(トリプルジャンクション)にあり、地殻変動が非常に活発な場所である。」と書かれていました。ちなみにこの3つのプレートは北米プレート、フィリピン海プレート、大平洋プレートです。

 

「生活の芽」↓

kekesun.jp

 

 

西之島

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西之島 - Wikipedia

 

 

西之島周辺のプレート断面図

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 http://kekesun.jp/1847.html

 

 

下図は上記の図を一部拡大したもの。これで火山の噴火がプレート境界面の圧力を開放するための蒸気バルブのようなものだということを、理解していただけると思います。

もし火山の噴火がなければ、大陸プレートは本当に水の上に浮いてしまうことになるのです↓ 

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分かりやすい記事がありました↓

chiri-geography.com

 

 

 

火山の噴火は、例えばヴェスビオ火山の火砕流により古代都市ポンペイが地中に埋もれてしまったように、その場所や規模によっては人々の生活に甚大な被害をもたらします。

ポンペイ - Wikipedia

  

しかし、西之島のような人の住まない離島の場合は(海鳥達には申し訳ないと思いますが)、どんどん噴火してプレート境界面に溜まった圧力を開放したほうが良いのです。

地震や火山の噴火はプレート境界面に沿って各々関連しており、西之島からフィリピン海プレートを北上した部分には富士山があります。

ですから西之島の噴火が活発化して境界面に溜まった圧力を開放すればするほど、富士山噴火の可能性も減少し、今後発生するであろう日本国内の地震の規模も小さくなるはずです。

 

頑張れ、西之島!!