「自由と静けさ」

今回は老子の「道徳経」第57章を御紹介。

道徳経は今から約2,500年ほど前の春秋時代に、老子により書かれたものです。

直訳ですと現代の感覚とは合わない部分もありますので、今回は加島祥造氏の著書「タオ ー 老子」の内容を紹介いたします。

この「タオ ー 老子」は「道徳経」を現代人にも理解しやすいように、かなり大胆に解釈したものです。

小説で言えばシドニー・シェルダンの「ゲームの達人」の超訳に近いものがあるかもしれません。

しかし一般的な「道徳経」の直訳よりも、現代人にとっては、はるかに理解しやすいと思いますので、今回はこちらを紹介することにいたしました。

 では加島祥造著「タオ ー 老子」から「道徳経」第57章です。

 

 

 

国を治めるんなら

その国なりのやり方が有効だろう。

国と国が戦うんなら

奇襲戦法をとるのが有効だろう。

だがね、この天下、

全世界がグローバルに

鎮まり治まるには

そんなこっちゃあ駄目なのさ。

 

どうしてそんなことが言えるかって?

だってよく見てごらんよ、

いま国々ではいろんな禁止や規則を

やたらに設けるもんだから、

少しの金持ちと多くの貧乏人ができてるじゃないか。

多くの人にいろんな武器を持たすから

どの国も不安や暴力につかまっている。

頭のまわる人間があれこれやって

新しい知識が生まれる。

そして知識が生まれれば生まれるほど

人びとは忙しくなる。

法規や税法を細かくすればするほど

網をくぐり抜ける悪党や盗っ人が

増えてるじゃないか。

こんな国々がより集まったからって

全世界が静かに治まると思うかね?

 

この大きな世界が治まるには

国も人びとも、

できるだけ相手の自由を尊重することだ。

自由と静けさ、

それがあれば、人びとは自然に

よく働き、繁栄が生まれてくるんだ。

必要以上の欲望を持たなければ、

人はじつにゆったりした存在でいるものだよ。

こういう人びとが

全世界にあふれてごらん。

そうしたら、グローバルな平和と調和が

成り立つじゃないか。

 

 

 

 

道徳経が書かれたのは、今から約2,500年前です。