「トリチウム - その2」
「東京電力福島第1原子力発電所において発生しているトリチウム汚染水は、海洋放出するしかないのではないか。」と、2013/09/16の記事に書きました↓
私がこの記事を書いてから6年半ほど経ちましたが、経済産業省は海洋放出という最終決定を下すことになりそうです。
こちらは日本経済新聞の記事↓
そこで、海洋放出する際に出来る限り環境負荷の少ない方法はないかと考えてみました。
まずは海に生息している生物、そして地域の漁業関係者、日本国民、さらには地球規模での影響。
これらを考慮して思いついたのが、「日本海溝の底部までホースを降ろし、そこにトリチウムを含んだ水を放出する」というものです。
海洋水は水深200mまでの表層水と、200mよりも深い部分の深層水に大きく分けられており、表層水と深層水は混ざることがありません。
ですから200mよりも深い部分に放出すれば、沿岸部への影響は防げるでしょう。
しかし漁業では、最も深いところでは水深1600mほどまで網を下ろすそうです。
ですから漁業にも影響が出ないようにするためには、更に深い部分へ放出しなければなりません。
参考記事↓
更に深い部分にも生物はいますが、概ね水深6000mを超えると生物相はかなり少なくなるようです↓
日本海溝の最深部は8058mですから、ここまでホースを下ろせば生態系への影響は最小限にできるのではないでしょうか?
今や世界中の海に海底ケーブルが敷設されている時代ですから、日本海溝の底部まで排水用のホースを伸ばすのは、それほど難しいことだとは思えません。
日本海溝↓
海底ケーブルの世界地図
ところで日本海溝は東北地方の沖合約200kmのところを南北に走っていますが、そこまでどのようにして汚染水を運ぶのか?
2019年12月時点で118万トンの処理水がたまっており、20年末までには137万トン分のタンクを確保するそうです。
この処理水の運搬には巨大タンカーを使用すれば良いのではないかと考えています。
現在、世界最大のタンカーの積載量は約44万トン。
10万トンクラスのタンカー1隻なら往復400kmを10数往復、2隻ならその半分ということになります。
今後も処理水を地上に貯め続けることを考えると、いったん現在まで貯め込んできた処理水を全て日本海溝の底に放出し、その後ある程度の量まで貯まった時点で、日本海溝の底部に放出するという方法もありではないかと思います。
その間に、トリチウムを除去する技術が開発されるかもしれませんし。
現存する世界最大のタンカー「TIアジア」
全長 380m
全幅 68m
総トン数 234,006トン
純トン数 162,477トン
載貨重量トン数 441,585トン
(載貨重量トン数が積み込むことの出来るトン数)
ちなみに、現在では世界一深いマリアナ海溝(水深約11000m)の底にもビニール袋が散乱し、マイクロプラスチックが浮遊しています。
元記事↓
ここまで日本海溝底部への処理水放出について書いてきましたが、ここで私の考える方法には、現時点で一つ大きな問題があることが発覚してしまいました。
海洋には表層と深層とを循環する周期1000年とも2000年とも言われている大きな水の流れがあるそうですが、日本海溝底部の水がどのように流れているのかを見つけることができなかったのです。
トリチウムの半減期は12.32年ですが、放出した水が人間の生活に影響を及ぼすような水深まで上がってくるまでに、何年程度かかるのかがわからないのです。
マリアナ海溝の底の写真を見る限り、それほど水の流れは無いようにみえますが、こればかりは実際の調査データが無いとどうしようもありませんので、もう少し探してみようかと思います。
参考記事↓
それと、地球内部の環境への影響も考えなければいけませんね。
地球の表面に住む未開人達は、もうそろそろ内部の人達に迷惑をかけるようなことは、本気で止めなければいけません。
まあ内部にいる彼らの科学技術ならば、トリチウムも無害化できるとは思いますが・・・。