「得体の知れないファブリーズ(4)」(完)

間が空きましたが、前回からのつづきです。 成分3: 水溶性凝集成分 働き:(P&G社による説明) 高分子ポリマーの一種。ハウスダストをまとめて固め、空気中に舞い上がり にくくします。 真野解説: この水溶性凝集成分に関しては、全てのタイプに含まれているわけではなく、 ファブリーズハウスダストクリアというタイプのみに含まれています。 そのためか、渡辺雄二著の「ファブリーズはいらない」という本には、この 水溶性凝集成分に関する記述がありません。 そこで、水溶性凝集成分とはどのようなものなのかを私なりに推測してみました。 調べてみると水溶性高分子はコンクリートモルタル、壁紙など様々な分野で 利用されていましたが、その中でポリアクリルアミド(PAAM)という物質が 排水処理などに凝集剤として利用されていることがわかりました。 私はファブリーズハウスダストクリアにも、このポリアクリルアミドが含まれて いるのではないかと推測していますが、現在よく利用されているDAA系やDAM系の ポリアクリルアミドには第4級アンモニウム基が含まれています。 この第4級アンモニウム基を他の物質と化学反応させたものが、前回出てきた 除菌成分の塩化ベンザルコニウムですから、この水溶性凝集成分にも塩化ベンザル コニウムの説明に書いたように、人の皮膚や粘膜を腐食する作用があることは十分に 考えられます。 成分4: 香料 働き:(P&G社による説明) ポリエチレンとナイロンの多層構造 真野解説: P&G社による香料の働きに関する説明文が「ポリエチレンとナイロンの多層構造」と なっていますが、はっきり言って全く香料の働きの説明になっておらず、単に香料の 成分構造を書いただけです。 このシリーズの第1回目に、私はファブリーズのいかにも化学物質という匂いが 耐えられないと書きましたが、香料に関しては渡辺雄二著の「ファブリーズはいらない」 にも、その実態がある程度書かれていました。 この本にも書かれていますが、ファブリーズは私の印象では「臭いを消す。」 のではなく「臭いを香料の強い香りでごまかす。」と言った方が、正解のような 気がします。 確かに、P&G社も正直に香料の働きに「他の強い臭いで、室内の臭いをごまかす ためのもの」と書くわけにはいかないでしょうから、上記のような意味不明の 働きの説明文となっているのでしょう。 ファブリーズに含まれている香料はP&G社が製造したものではなく、P&G社が 香料メーカーから買ったものを使用しており、その調合は香料メーカーの企業秘密と なっているため、P&G社のように香料を使用している側もその成分内容を知らない ケースが多いそうです。 渡辺雄二氏が調べたところによると、あるメーカーの消臭剤に使用されていた ラベンダーの香りは、ユーカリオイルと40~50種類の化学合成された物質から 作られていたということです。 化粧品に関しては2001年4月から、医薬部外品に関しては2006年4月から 全ての成分が表示されるようになりましたが、それ以前は指定成分のみの表示が 義務付けられていました。 指定成分とは、アレルギーや皮膚障害、ガンなどを引き起こす可能性があるために 厚生労働省が表示を義務付けている化学物質で、香料もその指定成分の中の一つ です。 つまり、2001年以前から香料は健康被害を起こす可能性があると厚生労働省が 認識しており、化粧品や医薬部外品ではその表示を義務付けていたのです。 なお、化粧品に関しては法改正により全ての成分表示が義務付けられましたが、 医薬部外品に関しては業界団体が自主的に全成分表示を開始しています。 P&G社が今後、自主的に全成分表示を始めることは無いとは思いますが。 ここまでファブリーズの成分を調べてきましたが、どの成分も健康被害を起こす 可能性のあるものばかりで、何故このように簡単な成分表示で法律上は、なんら 問題がないのか、理解に苦しみます。 やはり、企業と政治家の癒着の賜物なのでしょうか?
次回は、私が普段使用している自作の消臭剤を紹介いたします。 関連記事:   「得体の知れないファブリーズ(1)」
  「得体の知れないファブリーズ(2)」
  「得体の知れないファブリーズ(3)」
                                   白山オステオパシー院長