「フィンランドの教育。」

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」の映画パンフレットに、都留文化大学 学長の福田誠治氏が書いた、フィンランドの教育に関するコラムがありました ので、その中からフィンランド教育の特徴の主だったものを紹介します。 ・義務教育期間(16歳まで)は他人と比べるテストがない。 ・勉強は授業だけで塾はない。 ・授業時間は世界最低クラス、16歳の成績は世界トップクラス。 ・授業は説明10分、あとは個人作業。わからない子は手を挙げれば  教師がやってくる。わかる子は自分で答え合わせをして課題終了。あとは  他人の邪魔をしなければ宿題をしたり、好きな本を読んだり、他の子を  教えたり、何をしても自由。 ・フィンランドの学校はできない子の底上げはするけれど、出来る子は  放っておくんです。だって出来るんですから---ある教師の談。 ・フィンランドの教師(小、中、一部高校)の授業終了時刻の平均は14時09分  学校退出時刻の平均は14時57分、帰宅時間の平均は15時29分。  学校滞在時間の平均はフィンランド7時間01分、日本11時間26分。 ・高校入試はなく、中学の内申点で決まる。生徒は内申点が足りないと思えば  中学4年生に残ることも可能、まったくやる気のない生徒は中学4年生よりも  専門学校の「お試しコース」に所属させる。 ・宿題はあっても1日30分以内、土日は休み、夏休みは70日。 ・テストらしいテストは、普通科高校の生徒が2年生と3年生に受ける大学入学  資格試験が最初。 ・私学も含めて大学まで授業料は無料。 ・教師は教科書に書いてあることを教えなくてもよく、教科書以上のことを教えても  よく、教科書を使わなくてもよい。 ・教師個人の判断が尊重されるため、公的な教員評価もなければ、親からの  クレームもまずない。 ・教師は学校ごとに採用され、ほぼ移動せず、小学校は持ち上がりが普通で、  地域の子供たちを知り尽くしている。 ・何十年も同じ学校にいるので、子供たちの人生を長く見通して教育をしている。 ・教師は国民を照らす灯り。 この内容を読むとフィンランドの教育は、オーストリアの哲学者・神秘思想家の ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)が提唱した教育思想を実践している ウォルドルフ・スクールの考え方をかなり参考にして、取り入れているのではないか と感じます。 日本ではシュタイナー教育という呼称が一般的で、日本国内にもシュタイナー教育を 実践している学校が、いくつかあります。 ではウィキペディアからシュタイナー教育の教育法に関する記述の抜粋を紹介します。 詳細はウィキペディアをご覧ください。 「シュタイナー教育」   (ウィキペディアより一部抜粋) 方法論・教育法 シュタイナーは「現代の人間はスズメバチのようである」とし、頭脳ばかり発達して 意志が伴わない状態におかれている事を危惧した。 シュタイナー教育の目指すものは、宇宙にある諸事物の理念を人間と結びつけて 理解し、それによりミクロコスモスとしての子ども自身(人間)を活き活きとした 理念で満たすことである。 その手法として、芸術が重要視される。 オイリュトミー、フォルメンのほかに、造形絵画、童話、物語、詩、演劇、合唱、 器楽演奏など幅広い芸術教育が行われる。 シュタイナーは、芸術活動における記憶とファンタジーが、人間の生命発展力に つながる点を強調している。 芸術を通して、人間の4層(意識の座である自我、感情と印象の座であるアストラル 体、生命の座であるエーテル体、物質から成る肉体)に働きかけることが教育実践で とくに注目される事である。 それは以下のような特徴的な教科でのみならず、国語や算数といった公教育で 主要科目とされる授業の中でも目指していることである。 前述の七年期(ウィキペディア参照のこと)にみられる、年齢と教育を結びつけた 考え方から、年齢主義を基本とする運営がなされる。 子安美知子は、シュタイナー学校の教育実践の特徴として、以下の4点を挙げている。 ・毎日、第1時限目は100分間の「エポック授業」となっており、「エポック授業」  内では同一科目を三週間程度連続・集中的に学習する。 ・教科書を使用せず、「エポック授業」の内容が切り替わるごとにノートを新しくして、  授業内容を生徒自らが書き入れる。このノートを「エポックノート」と呼び、  最終的にはこれが「自作の教科書」となる。 ・1年生から8年生までは同一の担任による「持ち上がり」制であり、9年生から  12年生までは「担任」を置かず、「エポック授業」を担当する教師がクラスの  「相談役」となる。 ・テストと点数評価が存在せず、通信簿には教師による詳細な人間描写と、  各教科での成長プロセスの記述が行なわれる。 シュタイナーは自身の著作や講演のなかで、教条(ドグマ)的に方法論を固定する ことを戒めており、すべての教師が共有しなければならないのは、人智学による 人間観だと述べている。 ある教師によって行われた授業が優れたものであっても、他の教師たちがその 方法論だけに着目し真似をすれば、教師の実践の背後にあるべき人智学による 人間観は希薄になる。 大野裕美は、シュタイナー教育で最も重視されるのは、子どもの本質を人智学的に 捉える思考方法そのものであり、教育実践のマニュアルではないと述べている。 (以上、ウィキペディアより一部抜粋) もし日本の教育者がシュタイナー教育の方法論・教育法を読んだとしたら、多くの 人たちは「確かにこのような教育が理想かもしれないが、現在の受験制度の中では 現実問題として実施するのは不可能だ。」と言うかもしれません。 しかし、シュタイナー教育にかなり近い方法論を義務教育で実践して、世界でも屈指の 学力レベルを維持しているフィンランドという国が現実にあるわけですから、日本で 教育に携わる人間も、子供たちの将来にとってどのような方法が良いのか、もう一度 教育のあり方を考えてみるべきではないでしょうか。 世の常識人の多くは物事が出来ない理由を力説しますが、どうしたら出来るように なるか、その方法を探すことこそが重要なのだと私は思います。 私のように田舎で育ち、塾に通った経験も無い人間からすると、白山周辺で一流 大学を目指して、毎日夜遅くまで塾で勉強している小学生の子供たちを見ると、 貴重な子供時代をこんな風に過ごしてしまって良いのだろうか、と彼らの将来が 逆に心配になってしまいます。 教育に関しては、私のブログにときどき登場するニール・ドナルド・ウォルシュの 「神との対話」の第2巻にも、神からのかなり具体的な提案がありますが、こちらも 教育に携わる方には、是非とも読んでいただきたい内容となっています。 関連記事:       「今日の映画『木を植えた男』」       「今日の映画『おじいさんと草原の小学校』」       「スティーブ・ジョブズ伝説のスピーチ(動画1/2、2/2)」       「死ぬかと思った-その3」       「天命」       「死ぬかと思った-その5」       「愛とは」       「教訓」       「今日の映画『駄作の中にだけ俺がいる』」       「誰も知らない名言集(2)」       「北海道の景色。」       「神との対話」       「東京タウンマトリックス・2014年度版」       「無題。」       「今日の映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』」(1/2)       「今日の映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』」(2/2)                                   白山オステオパシー院長