「がんに関する考察。(2/3)ー がん細胞とバッタの相変異1」

私は体内のがん細胞とバッタの相変異には共通性があると考えていますので、今回はバッタの相変異についての概略を説明したいと思います。

 

「バッタの相変異」 

トノサマバッタサバクトビバッタなどは個体密度が増加すると、その形態や能力を変化させる能力を備えており、これを「相変異」と呼ぶ。

まばらに生息している低密度下で発育した個体は孤独相と呼ばれ、一般的な緑色をしたおとなしいバッタになり、お互いに避け合う。

一方、周辺に多くの仲間がいる高密度下で発育したものは群れをなして動き回り、幼虫は黄色や黒の目立つバッタになる。

これらは群生相と呼ばれ、黒い悪魔として恐れられている。

成虫になると群生相は体に対して翅が長く飛翔に適した形態となり、1日に100km以上飛行することもある。

長年にわたって孤独相と群生相はそれぞれ別種のバッタだと考えられてきた。

その後1921年、ロシアの昆虫学者ウバロフ卿が、普段は孤独相のバッタが混み合うと群生相に変化することを突き止め、この現象を「相変異」と名付けた。

ちなみに現在は、一般にバッタとイナゴは相変異を示すか示さないかで区別されている。

相変異を示すものがバッタ(Locust)、示さないものがイナゴ(Grasshopper)と呼ばれる。

 

 

日本でも過去にはバッタの大発生がありました。

船山馨の小説「石狩平野」には主人公の高岡鶴代の父親が、入植した札幌円山村で3年連続してバッタの大群に収穫間近の畑を食い尽くされ、最後にはバッタの大群の中で発狂してしまう場面が描かれています。

以下は 船山馨の小説「石狩平野」から、明治13年(1880年)の北海道の蝗害(こうがい)報告書の一節です。

 

 

蝗(いなご)初生のときは大きさ蟻の如し。

全身淡黒色、いまだ羽翅(うし)を有せず。

一週間ないし十日の間は発生の地に徐々に蠕動(ぜんどう)し、甲所を喰らい尽くせば乙所に転じ、その蠕動にあたりては一群悉く(ことごとく)方向を同じゅうす。

孵化後およそ七、八週間に六、七回の脱皮をなすも、脱皮の度数は各報告に差異あるをもって、目下試験中なり。

脱皮ごとに形躯(けいく)の成長前に倍し、最期の脱皮をとぐれば外翅内翅いち時に伸暢し、僅か一時間ばかりにしてよく振羽飛翅の状をなす。

初めは方位を定めず、乱躍するのみにて遠く走らず。

その状、羽翅を練磨するものの如し。

かくして二、三日を経れば、一群みな方向を同じゅうし、天を覆い陽を遮切りて群飛す。

この期に至れば、ひとり昼のみならず、夜間もまた温暖無風のときは能く飛行す。

その性群集を好み、一群の羽翅そなわるを待ちて、共に飛行するものの如し。

その飛下するところは、青草ために色を変じ、草原もまた赤土と化す。

食物尽くるにあらざれば他に飛転せず。

 

 

また 旧約聖書出エジプト記にも、エジプトがイナゴの大群に襲われる場面がありますが、現在でも世界で最も被害が大きい地域はアフリカ大陸で、西アフリカだけでも被害の多い年には年間被害総額は400億円以上となっており、アフリカの貧困に拍車をかける一因となっています。

最近では2003~2005年に大発生し、被害の大きかった西アフリカ諸国に2003~2008年にかけて、日本から57億円の緊急援助をおこないました。

 

 

北海道の蝗害(こうがい)報告書、旧約聖書出エジプト記ともに蝗(イナゴ)と記述されていますが、相変異が発見されたのが1921年ですから、それ以前はバッタとイナゴの明確な区別が無かったと言うことになります。

 

 

こちらはサバクトビバッタの大群の映像です↓


Swarm Of Locusts DEVOUR Everything In Their Path | Planet Earth | BBC Earth

 

 

 

 

参考書籍

 

石狩平野」 船山馨

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「小説『聖書』旧約篇」 ウォルター・ワンゲリン

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次回はバッタの相変異について、より詳しく書いていきます。