「がんに関する考察。(1/3)」

がんは西洋医学的には悪性腫瘍とも呼ばれるように、徹底的に排除しなければいけない「わるもの」だという考えが、一般的ではないでしょうか?

しかし私は、がん細胞とは体内環境が何らかの原因により悪化することにより、その過酷な環境下で正常な細胞が必死に生き延びていくために、やむを得ずに変化したある意味では「可哀想な子」だと考えています。

 

太平洋戦争を題材にした「火垂るの墓」というアニメ映画がありますが、その映画の中で、B29の爆撃により母親を失った清太と節子の兄妹は、肩身の狭い思いをするおばさんの家を出て、使われなくなった防空壕で暮らし始めます。

お金も食料も底をついた清太は畑で野菜を盗むようになり、ある日農家のおじさんに捕まってボコボコに殴られ警察に連れて行かれますが、この清太を果たして「悪い子」と言えるでしょうか?

もし清太が食べ物に不自由しない生活をしていれば、畑で野菜を盗むことも無かったでしょう。

彼は、兄妹二人が過酷な環境の中で生き延びるために必死だったのです。

 

体内のがん細胞も清太と同じような状況なのだと、私は考えています。

 

前々回の記事の内容から、もう一度オステオパシー創始者A.T.スティルの著書「Research & Practice」(1910出版)の「Adominal and other Tumors(腹部及びその他の腫瘍)」の一部を抜粋します。

 

 

太陽神経叢が腹部の神経系の中心であり、横隔膜を貫いて太陽神経叢に通ずる大内蔵神経が腹部内蔵に対する栄養力全体の供給源であるとするならば、このような力や栄養の供給を阻害すると腹部のすべての器官が麻痺するのではないか?

このような抑制や阻害によって腹部器官の麻痺が引き起こされるのか?

この推論が正しいなら、腹部動脈が腹部の全器官に正常な量の血液を送り込める理由や、器官において動脈血を受入れて利用した後速やかに、老廃物を含む静脈血やリンパを静脈神経系の影響下にある静脈循環により送り返すことができず、当該器官を正常状態に維持できなくなる理由を理解できる。

 また、静脈の神経が麻痺すると静脈は非活動性となり、静脈系を通じて静脈血のすべてを正常に送ることができなくなるということも分かる。

この静脈うっ血により動脈系の海綿状の膜の中に活性のある動脈血が蓄積されることで、異常な位置に異常な状態の組織の形成が始まる。

つまり、腫瘍は、活性のある動脈血がその正常な機能状態から外れたときや、器官へ送られた血液が静脈還流で戻されないときに生じる、自然発生的増殖物であると考えられる。私としては、これが腫瘍発生の理由であると思う。

 

我々のシステムの中で、完全に正常でなければならないものが2つある。

1つ目は、動脈と動脈神経が絶え間なく、タイムリーに十分な量の血液を運ばれなければならない。

2つ目は、静脈と静脈神経がその機能を果たし、滞留を生じさせないことである。

この2点が絶対的に要求される。

動脈を介して血液を送り込み、静脈系により静脈血やその他すべての物質を心臓に戻さなければならない。

そうでなければ、心臓からの血流、又は心臓へ戻る血流のいずれかに支障を生じた結果として腫瘍が現れるであろう。

このように考えると、なぜ腫瘍を生じるのか、なぜ静脈うっ血を生じるのかが分かる。

つまり、腹部の全器官に対して機能する静脈と動脈の両方を支配、管理する太陽神経叢が部分的に麻痺することで、内蔵神経の完全なる自由が妨げられるのであろう。

 

 

 続いてエドガー・ケイシーのリーディングも再度紹介します。 

リーディング No.283-2 

1927年11月10日  46歳の卵巣嚢胞の女性に対して取られたリーディング

 

(問)

血液中には、私の体の状態の影響を示す痕跡がまだ残っていますか?

 

(答)

これは良くなっているが、その証拠(エビデンス)はまだ血液中に存在する。

なぜなら、血液中にその痕跡を残さないような状態というものは一切存在しないからだ。というのも、血流は体を再建するものを運ぶだけでなく、使用済みの諸力や体内の様々な部分の適切な経路を通じて排泄されるものも運ぶからである。

それ故に、赤血球や白血球、リンパなどすべてが静脈を流れるのである。

これらは 体内の製造器、濾し器、破壊器、再生器として機能する微小部分でのみ分離されるのである。よろしいかな?

それ故に血液中には、肉体で継続している状態を反映するもの、あるいはその証拠(エビデンス)となるものが、常に認められるのである。

やがて一滴の血液を採り、それから肉体のあらゆる状態を診断できる日が来るだろう。

 

ケイシーリーディングでも、血液の浄化は体内の決まった器官でしかおこなわれないと書いています。

 

ですからオステオパシーを含めた各種の方法で神経系(特に自律神経系)を正常化し、動脈による酸素や各種栄養素の供給を正常化し、静脈やリンパ管による老廃物の排泄を正常化してあげれば、がん細胞も本来の正常な状態の細胞に戻ると、私もDr.スティルと同じように考えています。

 

次回はDr.スティルが考えるがんの発生や治療に関連して、私なりに考えた「がんとバッタの相変異との共通性」を書きたいと思います。