「変えられないものは・・・。」
オステオパスという職業は、基本的には身体の筋骨格系にアプローチして
人を健康な状態へと、導いていくというものです。
しかし、オステオパシーの創始者スティルが自分の生徒達に説いたように、
人間は「Body,Mind,Spirit」を有した三位一体の存在なわけですから、
当然のことながら筋骨格系へのアプローチだけでは、対処できないケースも
あるでしょう。
わたしも施術をしながら、いろいろな人たちの悩み事や心配事を聞くことが
あります。
一応は、これまでにユング、アドラー、フランクル、マズロー、河合隼雄、他
それなりの数の心理学系の本は読んできましたが、そうそう的確なアドバイスが
できるわけもなく、ふんふんと相手の話を聞いてあげているだけという場合が
ほとんどですが・・・。
先日再婚を発表した、宇多田ヒカルさんの曲「Wait & See~リスク~」の歌詞に
変えられないものを受け入れる力
そして受け入れられないものを
変える力をちょうだいよ
という一節がありますが、わたしの場合は
自分の努力で変えられるものは、変える努力をする
変えられないものは、受け入れる
しかし、どうしても受け入れることが出来ないものは
そこから離れる
という感じでしょうか。
「Wait & See~リスク~」では、最初に書いた歌詞の後に
どこか遠くへ
逃げたら楽になるのかな
そんなわけ無いよね
どこにいたって私は私なんだから
と続くわけですが、私は時には逃げるのもアリではないかと思っています。
今から10年近く前でしょうか。
「鏡の法則」という本がブームになって、相手は自分の鏡なのだから
自分が変われば相手も自ずと変わるのだ、という親子の感動のお話が
ありました。
あの本を読んで涙した人も多かったようですが、残念ながら私の場合は
相当ひねくれているようで、「まあこういうこともあるかもしれないけど、
世の中には、この法則が成立しない人も絶対いるんだよね。」という
感想でした。
ですから、どうしても受け入れられない場合は、その相手や場所から
離れる、という結論になってしまう訳です。
たしかに世間体だとか周囲の目を考えると、それさえもできないという
人もいるかもしれません。
しかし周囲の事を考えすぎるあまりに、結果的に自分自身がつぶれて
しまっては、おしまいです。
時には「離れる」という勇気も必要ではないでしょうか。
では最後に宇多田ヒカルさんは、もしかしたらこの人の言葉にインスパイア
されて「Wait & See~リスク~」の歌詞を書いたのかもしれないと感じる、
神学者ラインホールド・ニーバーの祈りの言葉をどうぞ。
神よ
私に変えることのできないものは
それを素直に受け容れるような心の平和を
変えることのできるものは
それを変える勇気を
そして変えられるものと、変えられないものとを
見分ける知恵を、この私にお与え下さい
God
grant me the serenity
to accept the things
I cannot change
the courage to change
the things I can
and the wisdom to distinguish
the one from the other
白山オステオパシー院長