「磁気治療の原理。(真野説)-その2」

今回は、私なりの磁気治療の原理を説明する前段階として、体液中のイオン組成 とタンパク質の性質について、おおまかに書いていきます。 食事や呼吸により体内に取り込まれた物質は、細胞内液や間質液(細胞間を 満たしている液体)、血液などの液体中では、プラスあるいはマイナスの電荷を 持った電解質(イオン)と、脂質やブドウ糖などの電離をしない非電解物質に 分けられます。 下記に、体内の主なイオン濃度を書きます。                  細胞内液      間質液                         (mM)        (mM) 陽イオン  Na⁺              5~15        145                K⁺               140           5  Mg²⁺              0.5         1~2            Ca²⁺              10⁻⁴         1~2    H⁺               7x10⁻⁵       4x10⁻⁵  (pH)             (7.2)       (7.4) 陰イオン  Cl⁻               5~30       110                HCO₃⁻             ~10         ~30                       これらの各種イオンの中でも磁石の作用により、私が言う沈着タンパク質に 最も作用しているのは、前回書いたように水素イオン(H⁺)だと考えて います。 上記の理由を理解してもらうには、まずタンパク質の構造について説明 しなければなりません。 少し難しい話になってしまいますが、タンパク質の立体構造を維持する には主に4つの力が働いています。   1、システインというアミノ酸どうしが結合するジスルフィド結合   2、疎水性アミノ酸どうしが集合する性質による疎水性相互作用     3、アミノ酸の持つ水素原子(H)が近くに配置されると相互作用     が働いて結合力を得る水素結合   4、アミノ酸側鎖のプラスとマイナスの電気的な引力・斥力から     なる静電的相互作用 上記のうち2~3は比較的結合力が弱く、最も強い結合力を持ったものが 1のジスルフィド結合です。 つまり、このジスルフィド結合をを断ち切ることによって、タンパク質を 効率的に分解することができるわけです。 このジスルフィド結合はタンパク質を構成するシステインというアミノ酸 の硫黄原子どうしが共有結合することにより形成されています。 これは、酸化反応によりできるものですので、これを断ち切るには、 強い還元状態にする、あるいは還元作用のある物質を作用させればよい ということになります。 ちなみに還元状態にするには、   1、物質が酸素を失う。   2、物質が水素を得る。 このどちらかになれば良いわけです。 生体内では、数万種類ものタンパク質が働いていると言われていますが、その 役目を果たすには、それぞれが決まった固有の立体構造を維持していなければ ならず、その立体構造が崩れてしまうと、もはやそのタンパク質は本来の 役目を果たすことは、出来なくなってしまいます。 ところで、私がいつも言っている沈着タンパク質ですが、その多くはすでに 固有の立体構造が崩れた、変性タンパク質の凝集体だと思われます。 通常、正常な立体構造を持ったタンパク質は、体内ではその内部に疎水性の 構造を持ち、表面に親水性の構造を持っています。 しかし、一般に立体構造が崩れた変性状態では、タンパク質の分子内に埋もれて 水と接していなかった疎水的なアミノ酸側鎖(トリプトファンフェニルアラニン 、ロイシン、イソロイシンなど)が変性に伴い露出することで、変性タンパク質の 分子間の疎水性相互作用が強まり、水中に溶けない凝集塊となってしまいます。 これらの変性タンパク質は非常に分解しにくく、強力な変性剤や界面活性剤(洗剤)を 用いなければ、溶解させることができません。 ちなみに私の考えでは、一般にアレルギー物質と呼ばれるものは全て、タンパク質を 分解する作用のある、界面活性効果を持った物質です。 そして体液中に含まれる水素イオン自体にも、先に書いた説明のとおり、各種の 界面活性剤と同様にタンパク質を分解する作用があり、磁石の力でその効果を 高めているというのが、私の考えです。 次回は磁石とローレンツ力について説明したいと思います。 ここまでのところ、理解してもらえてるのかな~~。                                      白山オステオパシー院長