「先生のとこって、安いよね。」

先日、当院に一歳の赤ちゃんを連れてきているお母さんに、 「先生のとこって、安いよね。」 と、言われました。 ちなみに当院の料金体系は、以下の通りです。  ・初検料               1100円  ・施術料   大人                 5500円(50分)   高校生・大学生・専門学生   4400円(50分)   3歳~中学生           3300円(40分)   2歳以下              2200円(30分)   時間は、おおよその目安です。 「先生のとこって、安いよね。」と言ったお母さんは当初はお子さんのみの 施術でしたので2200円、現在はお母さんも施術を受けているので2人 合わせて7700円です。 大人の施術料金に関しては、私の知人等の施術院では60分6000円程の ところが多いようなので、私自身は当院がそれほど安いとは思いませんが、 子供料金は他の施術院よりも安く感じる方がいるかもしれません。 オステの施術院では、そもそも子供料金の設定が無いところも多いですし 子供料金があっても、やはり当院よりは高めに設定しているところがほとんど のようです。 子供料金の設定に関しては、私なりの考えがあります。 私はオステオパシーを学び始める前は、15年ほど農業をしていましたが、 その農業の中でも、農薬や化学肥料を使用しない有機栽培という方法を とっていました。 農薬、化学肥料を使用する慣行栽培と呼ばれる方法では、一般的には 収穫した農産物は市場に出荷して、その時の相場で価格が上下します。 しかし有機栽培の場合、規模の小さなところですと消費者に直接販売している ところもありますが、北海道のようにある程度規模の大きな有機農家の 多くは、その年の初めに出荷先と品目ごとの値段を決めて契約し、収穫した 作物は、その決められた価格で出荷する形態が大半です。 有機栽培の場合、栽培にかける労力も多いですし、収量も慣行栽培よりは 少なめになりがちなため、必然的に契約価格も一般の農産物よりも高めに なってきます。 今でこそ、普通のスーパーなどでも有機認証の付いた農産物を見かけるように なりましたが、私が有機栽培を始めた当時は、個人の自然食品店や有機野菜 の宅配業者などが、主な取引先でした。 個人のお店ですとロスの部分も考慮して売価を決めると、結果的にスーパーで 売られている一般の野菜の、何倍もの価格になってしまうこともあります。 そうなると、結局そういったところで野菜を買える人達というのは、ある程度 経済的に余裕のある年配の方々が中心となってしまい、本当にそういった野菜を 食べて欲しい小さなお子さんのいる家庭では、余裕が無いために買いたくても なかなか買うことが出来ないという実態がありました。 そういったお店に来ている、若いお母さんで多かったのはお子さんがアトピー だったり、アレルギーだったりと、本当に苦労している方々でした。 ですから有機農業をしていた頃の私にとっては、一番届けるべき人達のところに 自分の作ったものが、なかなか届かないというのは、一つのジレンマでした。 その後、思うところがあり農家からオステオパスへと転身することになりましたが、 現在、当院には様々な症状のお子さんたちが来ています。 そういったお子さん達に対して病院ではどう対処するかと言えば、結局は薬しかなく 効果が現れないとなると、作用機序もよく分かっていないような薬の量を、どんどん 増やされてしまいます。 しかし当院に来ている親御さんで、自分の子供に薬を飲ませたがる人など 一人もいません。 皆、出来るかぎり薬の量は少なくして欲しいと願っているのです。 少し前のことですが、この近くに住む方でお子さんが風邪をひいたため、近くの 小児科に連れて行ったそうです。 その小児科では、発熱、鼻水、咳など、お母さんが説明する症状一つ一つに 違う薬、更に胃が荒れるので胃薬も出され、そのお母さんはあまりの薬の量の 多さに子供に飲ませることをためらい、その日のうちにお子さんを当院に連れて きました。 最近のお医者さんは子供の医療費が無料なのをいいことに、必要以上の薬を 出す傾向にあり、東京の某私大病院のように小児の医療費無料というところに 目をつけて、子供をお金儲けのターゲットにしているところもあります。 子供に大量の薬を処方したり、1本数万円もするホルモン療法をしたりと 半ば、やりたい放題の状態です。 当院の料金設定について書いていたつもりが、近ごろの病院や医師達の 在り方に対して思う所が多すぎて、だんだんと話の脈絡が無くなってきて しまいました・・・。 結論を言いますと、私がお子さんの料金設定をこのような形にしているのは、 自分のお子さんの症状に対して打開策の見えない、お父さん、お母さん達が オステオパシーに何らかの可能性を見出して、はじめの一歩を踏み出しやすく なってもらえれば、という思いからです。 有機農業をしている時に出来なかったことを、いま違う形で実現させようとして いるのかもしれません。 関連記事:    「人生は廻る輪のように」    「体験談(4)」    「あとどれくらい?」    「体験談(5)」    「スティルの言葉(3)」    「にんげんだもの?」                                     白山オステオパシー院長