「インド訪問記(5)」

3月15日(金)

本日の主な目的は2つ、ラマナ・マハリシのアシュラム(道場、修行場などの意)を訪問すること、そしてシヴァ神の顕現であるとされる、聖なる山アルナーチャラ山に登ることです。

ここで、ラマナ・マハリシとアルナーチャラ山について少し説明いたします。

最近はマハルシと書くことが多いようですが、私は以前多かったマハリシという書き方の方がしっくりとくるので、このブログではマハリシで統一したいと思います。 

沈黙の聖者とよばれるラマナ・マハリシ(1879年12月30日ー1950年4月14日)は16歳の時に突如起こった内的体験から、ヨーガの訓練をしたり、グルに師事したりせずに解脱に到達した聖者です。

ちなみにラマナ・マハリシの本名はヴェンカタラーマンですが、マハリシの最も有名な帰依者の一人であるガナパティ・シャストリー(聖者ガナパティ)が、彼をラマナ・マハリシ命名したことがこの名の由来です。

ラマナとは愛の神、最愛の方、歓喜などの意、マハリシはマハー・リシ、偉大なリシ(聖者、賢者)の意味。

またマハリシが人生の大半を過ごしたアルナーチャラ山はインドにおいては古来よりシヴァ神の顕現であると言われ、マハリシはアルナーチャラ山を世界の霊的ハートだと言っています。

ではリンクをいくつか。

 

ラマナ・マハリシウィキペディア

ラマナ・マハルシ - Wikipedia

公式サイト

シュリー・ラマナ・マハルシ – Sri Ramana Maharshi

アルナーチャラ – Sri Ramana Maharshi

 

 

午前6時、アルナーチャラ山登山のためホテルのレセプション前に集合して出発。

アルナーチャラ山には山の中腹に寺院があり、午前8:30からお祈りの時間があるのですが、この日も予想最高気温は37℃ということで、暑くなる前に登ろうということになりました。

アルナーチャラ山まではホテルから車で15分ほどの距離ですが、途中で警官による検問があり車を止められます。現在インドは隣国パキスタンと紛争状態にあるため町の入り口などで検問を行っていることがあり、特に外国人が乗っている車は止められやすいそうです。

午前6:15頃、山のふもとにあるラマナ・アシュラムから登山を開始し、登り始めるとすぐに瞑想中の人を見かけます。さすがは聖なる山アルナーチャラです。

 

朝日の中、岩の上で瞑想する人↓

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しばらく歩くと反対側の峰の大きな岩の上でサルが遊んでいます。以前に屋久島に行ったときに、山から張り出した大きな岩の上に乗ったことがありますが、あの時は岩の突端に行くのが本当に怖かったことを覚えています。サルたちには恐怖心というものがないのでしょうか?

 

サルも木から・・ということは?

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山を歩いていると蚊にさされてしまい、ガイドさんに「このあたりはマラリアは大丈夫?」と聞くと「今は乾期なので大丈夫だが、雨期になると危ない。」ということでした。以前にマラリアにかかったときには本気で「死ぬんじゃないか?」と思ったので、あの経験はもうこりごりです。ちなみにマラリアは人から人へ感染することはありません。

更に登ると景色がひらけてティルバンナマライの街が一望出来る岩があり、正面には前日に行ったアルナチャレシュワラ寺院が見えます。この岩の上はマハリシも好んだ場所だそうです。

 

ティルバンナマライの街とアルナチャレシュワラ寺院と朝日

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私たちがこの場所に来たときに一匹の犬が岩の上に寝ていましたが、この犬は私たちがこの場所を離れる時に立ち上がり、一緒についてきます。

 

犬とアルナーチャラ山山頂。

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ガイドさんの後ろを行く犬。

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中腹にある寺院に着きますが、まだ開門前。ここでメンバーの中から、もう登るのがつらいという声が出ます。またいつか来る機会があればその時に山頂まで行きましょうということで、ここからラマナ・マハリシが若かりし頃滞在していた洞窟を巡るルートを通って下山することとなります。下山途中、石を山の形に彫ったものを売っているお兄さんがいたので、私はそこで白山オステオパシーのお守りにと一番大きなアルナーチャラ山を購入。白山オステオパシーには白山開山1300年の際にいただいたお札もあるので、これで「聖なる白い山」と「聖なる赤い山」の双方に守られることとなりました。

私が写真を撮ろうとすると、石を彫るポーズをとってくれました↓

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山を下る途中、木の枝の上で遊ぶサルの子供達。遠くにはアルナチャレシュワラ寺院のゴープラが見えます

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ラマナ・マハリシが若い頃数年間滞在していた場所。

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もう1箇所、こちらは開いており中でお祈り出来ました。

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山のふもとに着いたところ。ここからも寺院のゴープラが見えます↓

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通りの塀に貼ってあった結婚式の告知ポスター。新郎、新婦の写真、そしてどなたでも式に参加してくださいと書かれています。 

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ティルバンナマライでは、こういった結婚式のポスターをよく見ました。地元の有力者が自らの力を誇示するため、子供達の結婚式でこのようなポスターを作るようです。インドでの結婚式の多くは約1週間に渡って行われ、新郎は式の前と後に親族一同に服を贈るそうです。また招待客が1000人規模の結婚式も珍しくはなく、式にはかなりの費用がかかります。通常は新郎とその親が費用を折半するため、新郎は一生懸命に結婚式の費用を貯めなければいけないそうです。こういった話を聞くと、北海道で一般的に行われている会費制の結婚披露宴は非常に合理的で良いシステムだと感じます。 

 

この場所から車に乗り、いったんホテルに戻ります。山で出会った犬は、結局私たちが車に乗るまでずっと一緒にいました。下山途中では野犬の群れに吠えていたので、私たちを守ってくれていたのでしょうか?

 

午前8時過ぎにホテルに戻ると、スタッフが新たなフローティングフラワーを作っている最中でした。

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この日は午後3時からのラマナ・マハリシのアシュラム訪問までは自由時間となります。ホテルにはプールがあったので、私は少し休んでからプールに行くことにします。

プールに行く途中にはヨガスペースがあるのですが、なんとそこではクジャクが瞑想していました。あまりにも凛々しい姿なのでしばらく見ていると、ホテルのスタッフがこれをあげてとクジャク用の餌(木の実)を手渡してくれ、私が餌を撒くとクジャクは立ち上がりついばみ始めます。

 

ヨガスペースで瞑想中のクジャク

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私が近くで写真を撮っても動じません↓

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餌で瞑想の邪魔をしてしまいました・・・。

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プールのシャワー室前には階段があり、屋上に上ると雄大なアルナーチャラ山を正面に望むことが出来ます。

 

プールの底に見えるのはホテルのシンボルでもある指紋。指紋はアガスティアの葉において重要な意味を持ちます。

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屋上から望むアルナーチャラ山。

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午後3時にレセプション前に集合し、ラマナ・マハリシのアシュラムへ。

 

ラマナ・マハリシは1950年4月14日に亡くなりましたが、彼に帰依する、あるいは彼を尊敬する多くの人たちが、現在も世界中からこのアシュラムに集まってきます。

マハリシ自身は自らを中心とした組織を作ろうなどとは微塵も考えていませんでしたが、マハリシに帰依する人たちが自然と彼の周囲に集まって、そういった帰依者達が中心となり建物を作るなどした結果、現在の形が出来上がりました。

アシュラムには宿泊施設もあり、事前に予約するとアシュラム内の宿泊施設に滞在することも出来ます。料金は決まっておらず、滞在者は気持ちがあれば相応の寄付をするという形となっています。日本でも、例えば京都や千葉にあるヴィパッサナー瞑想の施設は同じようなシステムをとっていますね。

 

こちらも敷地内に入る際はまず履き物を脱ぎます。また敷地内は写真撮影禁止のため敷地内の写真はありません。ご了承ください。

 

アシュラム入り口。

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入ってすぐの場所にある巨大なILLUPAI TREE

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階段から先がアシュラム。

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階段を上がるとすぐ左にヒンドゥー寺院があり、その隣はマハリシの像があるホールとなっています。像の前では向かって左が男性、右が女性と座る場所が分かれており、私も蓮華座を組みしばらく瞑想をします。

 

その後さらに上のホールに行くと、中心部分が一段低くなっており、そこでは円になって座った子供達が一心にマントラを唱えています。このアシュラムにはサンスクリット語を学ぶための学校があり、卒業生の多くはヒンドゥーの僧となるそうです。

マントラを唱える子供達の外側に他の人たちと同じように座っていると、アシュラムの人たちが座っている来訪者にステンレスの器に入った飲み物を配っています。私のところにも来たのでいただくとココナッツジュースでした。

こちらの人たちは同じ器を使って飲む習慣があるため、飲み物を飲む際に器にくちびるを付けずに口の上から注ぐように飲むのですが、これがなかなか難しい。私もなんとかこぼさずに、器に口をつけずに飲むことが出来ました。

 

5時からはマハリシの像があるホールで礼拝がおこなわれるので、いくつかの施設を見学しつつホールへと向かいます。ホールには大勢の人たちが集まっており、長髪、痩身にカディを身につけた、白人の姿もあちこちに見ることが出来ます。床に座って瞑想する人、マハリシの像の周囲を歩いて回る人など皆が思い思いの方法で礼拝を行います。私は再び蓮華座を組み、瞑想に入ります。イギリス人のポール・ブラントンはマハリシの生前、このアシュラムにおいてマハリシの無言の導きを得ながら、強烈な霊的トランス状態に入った経験を書いていますが、私もいつの日かそのような経験をすることができるのでしょうか?

 

礼拝が終わりアシュラムの売店に行くと、すでに閉店時間を過ぎており閉まっています。ここでしか買うことの出来ない品々もあるので、翌日もう一度アシュラムに来てもらうようにガイドさんにお願いして、道路の向かいにあるラマナ・スーパーマーケットに入り、お土産品などを購入。

 

アシュラム向かいにあるラマナ・スーパーマーケット、アシュラムで生活する人たちの生活必需品からお土産品まで、様々なものを売っています。

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ラマナ・スーパーマーケットの並びにはたくさんの小さなお店。

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ホテルに戻り皆で夕食のためにレストランに行きますが、飲み物の欄にアルコールのメニューがありません。ホテルのスタッフに聞くと、このホテルの敷地内ではアルコールもタバコも禁止なのだそうです。酒・タバコ禁止のホテルなど初めて聞きましたが、聖地ティルバンナマライでは比較的多いのだそうです。結局ティルバンナマライでは一切お酒を飲まず、非常に健康的な生活をしていました。

 

 

明日はカンチプラムに向けて出発です。

 

 

 

つづく。